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生命保険物語=第8話=

=第8話= 契約第1号! 嬉しくて涙が・・・

「お客様、このフェンディのピンク柄もお似合いだと思います。」
 これまでせいぜいウインドウショッピングしかできなかった銀座のお店の中。金満部長に誘われ買い物のお供で付いて来たんだけど、
「わかばさん、これ似合わない?」
と、わたしの襟にあてがったのは、エトロの細かい文様のパープルを基調にしたスカーフ。
「でも、こんな高価なものとても手がでません。」
「わかばさん、これね、契約第1号のお祝い。私も嬉しくて何かプレゼントしたかったの。」
 
 初期研修が終わり生命保険募集をするためのライセンスをとる試験に合格し、金満部長が室長になった「セーヌ研修センター第1期生」として勤務して10日ほどした頃、その吉報は舞い込んだの。

 朝礼がちょうど終わったころ、その電話が鳴り、
「わかばさん、この前の保険の件だけど、3,000万円のプランで手続きして欲しいんだけど。」
 一瞬、「えっ!」とこぼれるのをぐっと飲み込んで、
「分かりました。ありがとうございます。つきましては、手続きにお伺いしたいのですが、ご都合は?」
 なんてこと!つい3日ほど前、初めて職場訪問した東菱電機の社員の方からの契約申込だったの。その日、平成生命からの職場訪問の挨拶に金満部長に言われるがまま一緒に行き、既契約(既に平成生命に契約がある)のある何人かに事前に作製した設計書をお届けしていたんだけど、こうもあっさり契約が取れるとは!まさにビギナーズラック、かしら?

 既契約は独身時代に契約した500万円の養老保険。毎月1万円の保険料が契約からかれこれもう8年ほど給料から引き落とされている。それを「転換」すると、毎月4,000円ほど加算するだけで3,000万円の保険になる。しかも入院保障が1日5,000円から1万円になる。とにかく家族構成も生命保険に対する考え方も考慮しないかなり乱暴な「転換のお薦め」だったんだけど。
 
 しかも、手続きに訪問して分かったことは、最初の訪問の時けんもほろろにあしらわれた社員の方だったの。見るからに気むずかしい感じの文字通り”見込み度ゼロ”の雰囲気だったんだけど・・・。でもなぜ?
 そんな疑問を考える間もなく初めての申込書、診査、入金と手続きに追われ、申込から10日ほどで契約は成立したの。余りのあっけない1件に唖然としていたんだけど、申込書をまとめて金満部長に出したとき、
「わかばさん、おめでとう!」
と、両手でわたしの右手を強く握りしめてきたの。
 そして、壁の大きなグラフのまだ真っ白だった「わかば」と書かれた欄に丸いワッペンを貼り、3,000万のところまで赤いテープを貼ると、わたしを見つめ、
「良かったわねえ。」
 と、微笑んだのだけど何となくそのとき、金満部長の目頭がきらっと光った気がしたの。     
 
 その夜、みんなが寝静まったお風呂の中で、「わたし、自分で契約を取ったの!」と、じわじわとこみ上げてくる感動が襲ってきて・・・理由もわからない涙がポロポロとこぼれてきてしまった。
 でも、この契約がわたしのビギナーズラックでなかったことを後で知ることになるとは・・・!
 

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