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生命保険物語=第20話=

■ 「旅行招待」のウラには本社から経費が・・・!

 生命保険会社の招待旅行となると、大型バスを何台も連ねて文字通り「○○生命御一行様」となる。そりゃあ、旅行業者からすると実に有り難いお客様でシーズンになるとどこのホテルでも引く手あまたで旅行業者としては笑いが止まらない。

 とにかくこれだけ利益率が高い団体さんはそう他にはない。ホテルの単価は値切れるししかも大概の場合、保険会社の主催者は○○支社というのがほとんどだから、旅行交渉の相手は素人。もちろん「言い値」でとはいかないにしても、少し工夫をすると「良い親切な旅行業者」というお墨付きを貰える。当然のことながら盆暮れのお届け物を支社長と支社長代理にちゃんとしておけば、年に3回は使ってくれる。

 ホテル側にしても、こんなにオイシイお客はいない。一般のお客だと「一泊2食付き」で、2人で4万円なら、50組が泊まっても200万円程度。しかも余程のお客でない限りホテル内のクラブや飲食店などそう使っては貰えない。そもそも部屋にある冷蔵庫など空になることなどまずない。ところが、保険会社の団体となると、何と言っても普通の4人部屋に6人でも場合によっては8人でも詰め込める。大宴会はつきものだし、クラブもラーメン屋も寿司屋も大繁盛は間違いない。
 例えばラーメン一杯1,000円でも1,500円でも部屋のサインでOKだから、とにかく人さえ入ってくれれば高い安いは関係なし。もちろん、これにビールだ、餃子だとなると、一人単価は跳ね上がるという寸法。

 まあ、招待旅行というだけあって、招待されたセールスは自腹を切るところはほとんどない。ラーメンにしても、わたしたちは宮崎取締役の「ここのラーメンは俺の奢りだ」ということで、「美味しかったです。ありがとうございました。」で済んでしまう。
 もっとも、ホテル側も通り一遍の仕掛けでは、次の招待旅行には使って貰えないから、宴会の最中に「マグロの解体ショー」をやってそれをみんなに振る舞ったり、今回の「ホテル日光一番」の場合など、美人女将が舞台の裾で「お竜さん」並の挨拶をしたり・・・。

 「みなさま、本日は数ある日光のホテルの中でも由緒ある当ホテル日光一番においでいただきまして誠にありがとうございます。日頃のみなさまのご活躍に益々磨きが掛かりますよう今日は日光名物の『幻のどぶろく日光一番』をご賞味いただきたいと、私と今日の料理を誠心誠意調理させていただきました料理長からここにお持ち致しました。」
 和服姿できりりとしまった口上とともに、一升瓶数本が並べられ、早速浜田支社長が名指しで舞台の上に呼ばれると、直径30センチもあろうかと思われる焼き物の大杯にどくどくとその幻のどぶろくが注がれる。
 「こりゃぁ、うまい!」
 そして大杯を持って上座の方から注いで回るんだけど、そのたびに「これはうまい!」と歓声があがる。今流で言えばイケメンの料理長は、年配の女性に恭しく注いでいく。

 「みなさま、おいしいどぶろく、如何でしたでした。もう一杯欲しいという方もいらっしゃるでしょうが、この『どぶろく日光一番』は門外不出のお酒でして、当ホテルでしか販売しておりません。噂では駅の近くの酒屋さんでも売っているという話も聞いたことがありますが、もし、ご主人様やお客様にぜひ飲ませてあげたいという方は、明日の朝、フロント横の売店で限定50本用意させていただきますので、どうぞお買い求め下さい。あら、いつの間にか宣伝になってしまいましたわ。」
 と、上品に笑うと、間髪入れずに、
「よしッ、買って帰るぞ。」
 かけ声が入り、どっと沸く。すかさず、
「ありがとうございます。実は私ども家族全員、生成生命様の『家族ハッピーハッピー保険』に加入させていただいております。これも何かのご縁、今後ともなにとぞご贔屓にお願い申し上げます。」

 こうなると、もう爆笑と拍手の渦。このウィットに富んだそつない挨拶も、ちゃんと女将は計算尽くで、明朝の「お土産の売上げ」をさりげなく誘っている。実は、この「お土産」の売上げがホテルにすると馬鹿にならない。セールスのお客の数に比例して「お土産」は売れるからなの。少なくとも一人何千円から多いと何万円も買ってくれる上得意客に変身するの。もちろん、宅配便で送るから段ボール箱が何十箱もフロントには翌朝積み上がることになる。

 ところで、一人5万円の招待旅行の経費、どこからでるの・・・。関係ないこととはいえ少し気になる・・・。強引さんと深夜の露天風呂に入り、自分の寝る部屋にそっと入ったんだけど、どうしてテレビだけが!

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 部屋は暗かったんだけど、人の気配がする。もちろん5人が雑魚寝しているはず。そっとドアを開けると、床の間近くのテレビに5人が釘付けになってる・・・。思わずその画像を見て「あっ!」と立ちつくしたの。何とアドルトビデオなの。
「わかばさん、あーら、いいとこにお帰りねえ。」
 まだ年はわたしより若いんだけど、これまでクラブに勤めていたとかで男あしらいがうまい明美ちゃんが振り返りながら言う。もうすっかり目が据わってる。
「さあ、もう今夜の勉強はおしまい。」
 今度の旅行ではこのグループで最年長の青木さんが言うと、渋々布団を敷くために壁際に寄せたテーブルに集まる。

「でもさ、みんなよく来れたねえ。」
 青木さんが口を切ると、それぞれが旅行入賞までのいきさつを語り始めたの。
「実は、主人と私と友達が一緒に入ったことで、入賞しちゃった。」
「そんならまだいいわよ。増員してくれた先輩が、あんたも行きたい?って聞くもんで、そりゃあ行きたいです、って言ったら足りなかった1件を付けてくれて、おめでとう、入賞って」
 やおら明美ちゃんが私の前にビールをもってきたの。
「私がこれたのは、わかば先生のおかげ。」
 恭しくビールを注ぐ。

「あれ、あれを分けてもらったの」
「何よ、あれ、あれって」
「何とか定期・・・えーと」
「あっ、それ違うよ。ちゃんと明美ちゃん自分でもやったんだから」
 会話がかみ合わない。

 月が変わった2日か3日、セーヌセンターで月末〆切の申込書類などの整理を済ませ、何となく手持ちぶさただったところへ、明美ちゃんが、時間があるなら飛び込みしません?と誘いかけてきたの。
 暇をもてあましていたこともあり、それじゃあ、飛び込みしようか、とほんの軽いノリで歩いて行けるオフィスが固まって入っている雑居ビルに手当たり次第に飛び込んだんだけど・・・。

 ところが、ウソみたいな話。飛び込み一発で「団体定期保険」が取れてしまったの。もちろんわたしも明美ちゃんも見たことも食べたこともない・・・つまり、何も知らない保険。でもこういうとき、わたしは結構それらしく説明してしまう。
「え、えー、そうです。はい。はい。はい」
 と、研修で習いたてのおぼろげな知識で返事をしていると、
「じゃあ、それで契約するから、手続きして。」
 と、専務の奥様が返事したの。
「それでは、明日書類をお持ちしますのでよろしくお願いいたします。
 と、飛んで帰ったんだけど、これが「団体定期保険」という代物で、しかもここからてんやわんやの騒動が起きたの。

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