« ★大地一成のブログ保険塾=1=★ | トップページ | ■「定期付き終身保険」のすべて!=①・②=■ »

■ 18年度上半期生保決算分析=①=■

■ 生保38社の「上半期基本業績」分析!■

● 11月27日、主要生保の18年度上半期業績が発表された。それを受けて翌日の新聞に諸業績数値が掲載されることになるが、今回の新聞報道ほど各社の業態が把握しづらい業績項目と解説が並んだことはない。

● ベースの業績は「保険料等収入と基礎利益」で、それに「3利源やSM比率、実質純資産」などが表にされた。実は、各業績項目もバラツキが目立ったが、肝心の生保の取り上げ方も各紙バラバラだった。これでは一般の読者からすると、生保の現状を捕らえることはほぼ絶望的だ。

● もちろん、保険業界人にすると、とても各紙報道だけで生保業界の実態を把握することなど到底無理なわけで、消化不良のまま何となく見過ごすことになる。しかし、17年度決算を各主要業績毎に分析・解説した「保険・かわら版」に準じて分析・解説をすると、何事もないかのような状況ではないことが浮かび上がってくる。

 

■ 第1回 ■ 「総資産」がなぜ生保決算では重要か?

 17年度生保決算の新聞報道でも「総資産」を記事にした全国紙はなかった。確かに生保業界全体が収縮状況下では「総資産」の増減は単純評価は難しかった。ところが、平成13年度からの時価会計導入、さらにはゼロ金利解除を目の当たりにする今、「総資産という規模の優位性」は十分に注目しておく必要がある。

 つまり、これからは「資産」を保有していることが、他社との競争上優位に働く可能性が高いのである。もちろん、そのためには「総資産」の中身を知ることも大事だが、とりあえずここでは「総資産」の多寡について評価してみよう。

(1) 「かんぽ生保:約115兆円!」の総資産生保が相手だ!

 最近の生保決算関連記事には「総資産」の記事が掲載されなくなった。もちろん「貸借対照表」を見る上では生保の経営体力を見る要の指標である。漏れ伝え聞くところによると、生保側が「総資産」に触れるのを忌み嫌う傾向が強いと言われる。理由は何か。推し量るに「かんぽ生保」の影がそこにはちらつくと言う。

 平成19年10月の民営化時には「かんぽ生保」の「総資産は115兆5800億円」になるとされる。18年度上半期末の「日本+第一+明治安田の総資産が109.9兆円」ということから、その巨大さがわかろうというものである。つまり、「総資産による経営安定」が保険会社選択の物差しに使われては困るのが、偽らざる民間生保の本音だ。

(2) 「18年度上半期の総資産」でマスコミ報道が無かったこと!

 詰まるところ、生保の上半期業績(決算)発表翌日の新聞紙上には、読者からは意味不明の「基礎利益、換算保険料、3利源」などの”指標”もどきが並び、果たして現在の生保の経営体力はどうなっているのかとんとわからない決算報道となった。早い話が、一部大手生保に全国紙経済部記者が惑わされて、「これが生保を見る指標だ!」とばかりに言い含められるとそれを真に受けた経済部記者氏が「そうか!」とばかりに知ったかぶりに輪を掛けた決算記事が紙面を賑わすことになる。

 なんのことはない。個々の主要業績を見れば、「この生保は進展している」あるいは「この生保は苦しい」ということが一目瞭然なのだが、なにやら小難しい”専門用語”をちりばめることで、生保経営をもっともらしく珍評価したに過ぎない。

(3) 「18年度上半期の総資産」で、起きた順位変動!

 もちろん、大手生保からすると「かんぽ生保」誕生による、規模の優位性はできるだけ影を薄くしたい願望は理解できないでもないが、「量より質」を追求する姿勢の方が先々契約者の支援を得ると思われるが、どうもそこまで達観した生保首脳はいないらしい。

 さて、今回の18年度上半期業績(決算)では、「総資産業績」で大きな「変動」が起きていた。

(4) 「アリコが遂に富国生命を抜いた!」、総資産順位の崩壊?!

 実は、「保険・かわら版=第37号=」の「17年度生保決算分析(総資産)」のところで、「アリコの総資産は18年度決算で第9位が射程圏」と書いたが、それより半年早い上半期末で第9位にランクしてしまった。つまりこのことは単に「アリコが9位にランクされた」という意味だけではなく、マスコミ報道を含めいろいろなところに影響を及ぼすことになる。

 例えば、これまでは「国内生保9社」を並べると、日本における主要生保を表すことにもなったが、「アリコ」が9位になり富国生命が10位となると、そうはいかない。何らかの注釈が必要になる。いわゆる日本の生保を代表するという”金看板”が通用しなくなったのだ。

 ちなみに「アリコの総資産6兆1,353億円」に対し「富国生命の総資産は5兆7,570億円」と、今後順位逆転はほとんど不可能な金額だ。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

(5) 「アリコ」が「太陽・朝日・大同」を抜き、「第6位」になる?!

 改めて「総資産の優位性」をまとめておくと、「かんぽ生命」の誕生によりどうしても「規模」に対する関心度は高まる。この点は民間生保にも多大な影響を及ぼすのは避けられない。外資系なら本国の親会社の「総資産」を力説するだろうし、損保系なら親会社の損害保険会社の知名度でカバーするしかない。

 さて、かつては知名度はもちろん、その存在さえ知られなかった「アリコ」が、総資産金額で堂々の9位となった。しかもさらにその存在にインパクトを与えそうなのが、18年度決算あるいは19年度上半期業績報告の総資産金額だ。つまり、この進展でいくと、18年度上半期末の第6位「太陽生命」、第7位「朝日生命」、第8位「大同生命」との総資産金額差は、わずか1,668億円しかない。この半年間で6000億円余り増加させた「アリコ」の実績からすると、18年度決算で不可能な金額ではない。

 「テキストの総資産の38社一覧表」を見るとわかるように、18年度上半期末では「9社」が対前年度末より総資産額を減少させているが、奇しくも「太陽・朝日・大同生命」はこぞって減少している生保だ。この傾向は16年度末でもそうであったことが、表からもわかるが、その時の「6位:太陽生命と12位(当時換算)のアリコとの総資産差は約2兆円」もあった。それがわずか2年でごぼう抜きする可能性が極めて高いことになる。

(6) 「個人年金保険の銀行窓販主力生保」の停滞顕著!! 

 今回の18年度上半期末の「総資産」で顕著だったのが、これまで躍進に次ぐ躍進を標榜してきた、販売チャネルを「銀行窓販」(正確には証券等も含む)に特化してきた一部生保群の停滞傾向だ。中でも「ハートフォード生命」の増加率の鈍化は著しい。16年度末が対前期比125.1%、17年度末が同74.6%だったのに対し、18年度上半期末は5.9%増に止まった。しかも気になるところは、同社が主力代理店としている「日興コーディアル証券」の不正問題だ。少なくとも販売には悪影響が出ると思われる。

 総資産1兆円以上生保で見ると、唯一大幅増加したのは「東京海上日動フィナンシャル」だけだ。この実績をみるとかつての「スカンディア生命」の面影は吹き飛んだといってよい。もちろんこの背景には、グループとしての販売チャネルに対する全面的バックアックもあったが、課題はこれからの増加力だ。まだ1兆3,343億円という総資産力にはこれからの市場の拡大を考えると、あるいは既存市場からすると、このままの進展を継続させることは至難の業だ。一足早く「三井住友系の三井住友海上メットライフ」が2兆円達成したが、いずれ「ハートフォード、三井住友海上メットライフ、東京海上日動フィナンシャル」の3社がこの個人保険分野での市場規模を競うことになる。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 

(7) 「18年度決算で、『2兆円』が、最低必要総資産!!」 

 「日経金融新聞」が決算の度、「損保系生保、保険料収入6割増」(18年度上半期。17年度決算では4割増)という内容の記事を出している。詳しくは次の「保険料等収入と保険金等支払金」の業績項目で説明するが、ここにきて「損保系生保」の岐路に立たされた感は拭えない。つまり、記事を読むとわかるとおり「保険料等収入」にスポットを当てた記事なのだが、生保本来の規模を示す「総資産」の話題を出せないところが今の「損保系生保」のアキレス腱を物語っている。

 来年以降を予測すると、損保子会社の損保系生保にとって、親会社の「保険金不払い」のダーティーなイメージを払拭することは容易ではない。むしろ生保名に親会社の名前を冠することがなかったら少々のカムフラージュもできたかも知れないが、ことここに至っては致し方ない。問題は、親会社とは一線を画した際の営業効果だ。少なくとも地力でそこそこのボリュームは欲しいところだが、18年度上半期末で「総資産2兆円」を超えているのは「東京海上日動あんしん」だけだ。あと少しが「三井住友海上メットライフ」だったが、先日新聞一面広告で2兆円達成を謳っていたことから、現在のところこの2社が最低総資産金額をクリアーというところだ。

 後の生保では「東京海上日動フィナンシャル」がこのままの好調を維持できれば、2兆円達成も可能性がないことはない。現在10社ある「損保系生保」で、2兆円の総資産は、当分の間この3社に絞られる。

(8) 他の「損保系生保7社」はどうなる?! 

 次に続く「損保系生保」は、「損保ジャパンひまわり・三井住友きらめき・日本興亜・あいおい・富士・共栄火災しんらい・損保ジャパンDIY」の順だ。各社の総資産業績を分析すると、実にお寒い限りだ。しかし、かといってこれらの損保系生保の代理店としては、親会社の不始末による信用失墜もさることながら、時代が規模の競争に突入するとなると、個々の力量では如何ともしがたい。

 もっとも、将来金利が少々上がり、国内大手生保が「逆ざや完全攻略宣言」でもしようものなら、ここからは運用力の時代に入るのは避けられない。もちろん、大手生保が目の敵にしてきた「予定利率」をジワジワと上げながら「保険料の低廉化競争」に打って出る可能性もある。となると、もっとも困るのは「無配当保険商品」を主力販売してきた生保だ。どうしても「切替需要」が発生する。この時、「契約時には安かった無配当保険が一転して高い保険料商品に変化する」のである。但し、救われるとすれば、年齢差による「死亡率」の高低だが、これも来春からの「死亡率引き下げ」の影響でかなり怪しい雰囲気だ。

 つまり、ちゃんとした保険募集と契約者本意の考え方をしておかないと、大きなうねりに飲まれかねないのだ。これは例えれば「街の電気屋」さんと環境が似てくる。長期の大型店進出と購買力低下で多くの「街の電気屋」さんは消えてしまったが、保険業界でも同じことが起きる。もちろん、その時になって慌ててももう遅い。大型法人代理店に組み込まれるかあるいは廃業の選択肢しか残されていないことになりかねない。

 まだ余裕がある今のうちに「契約者からのあらゆる質問に答えられる準備」をしておき、それを梃子に確実に『自分の顧客の囲い込み』をしておく必要がある。

 例えば、「そろそろ満期(保険料の払込が終わる)がくる『定期付き終身保険』」について、聞かれても「曖昧な答え」とか「間違った答え」をするようでは、とても他の生保商品や損保商品の今後の継続は難しい。いわゆる「頼りにならない」レッテルを貼られてしまうからだ。

 しかも「かんぽ生命」は、間違いなく「定期付き終身保険でまっ向勝負」を挑んでくる。その肝心な保険商品の「知識と理解」があやふや、あるいは中途半端では勝つわけがない。もちろん、総資産が大きいことによる大手生保の優位性は大きな変化は無いだろうが、残念ながら総資産の小さな生保の場合は、「契約者本意の保険販売と説明」を徹底してやるしかないのが、むしろ保険営業の王道でもある。

 これは、これまで「好調生保」と評価され、ここまでほとんど無から「ソニー生命約3.2兆円、プルデンシャル生命約2兆円」にまで規模拡大の路を辿ってきた実証でもあるのだ。

■ (12月21日)■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

■ 第2回 ■ 「保険料等収入と保険金等支払金」の現状!

(1) 「保険料等収入激減生保」はここだ! 

(2) 「保険料等収入より保険金等支払額が多かった生保」はわずか2社! 

(3) 「保険金等支払金増、解約返戻金増」の生保群は?!

(4) 「解約返戻金の保険料等収入比率」が高い生保のわけ? 

=近々、解説!=

● テキスト発送を開始しましたので、到着を見計らって再開致します。

|

« ★大地一成のブログ保険塾=1=★ | トップページ | ■「定期付き終身保険」のすべて!=①・②=■ »

「保険」カテゴリの記事