■「定期付き終身保険」のすべて!=①・②=■

 「定期付き終身保険」といえば、かつて大手生保のドル箱保険商品だった。文字通り「働き盛りには大型保障、保険料の払込が終われば、一生涯保障と配当金が戻ってくる」と、いわば理想的な生命保険として爆発的なヒット商品だった。

 ところが意外にもこれまで大量に販売してきた大手生保関係者でもこの商品の構造をよく知る人は少ない。理由は簡単だ。商品構成を教育するまえに「とにかく良い保険商品」と洗脳し、「売れ売れ!」とばかりに飴と鞭で大量販売したのである。

 しかし、商品構成を理解すると、「定期付き終身保険」そのものは決して粗悪品なのではない。大きな問題点を3点指摘できる。

● 「定期付き終身保険・更新型」問題

● 「予定利率引き下げ」を狙った「転換」問題

● 「終身保険と定期保険」のアンバランスな販売問題

 である。逆に言えば「定期付き終身保険・全期型」なら、『お宝保険』ということができる。もちろん「予定利率」は高いに越したことはない。・・・・・

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■ 18年度上半期生保決算分析=①=■

■ 生保38社の「上半期基本業績」分析!■

● 11月27日、主要生保の18年度上半期業績が発表された。それを受けて翌日の新聞に諸業績数値が掲載されることになるが、今回の新聞報道ほど各社の業態が把握しづらい業績項目と解説が並んだことはない。

● ベースの業績は「保険料等収入と基礎利益」で、それに「3利源やSM比率、実質純資産」などが表にされた。実は、各業績項目もバラツキが目立ったが、肝心の生保の取り上げ方も各紙バラバラだった。これでは一般の読者からすると、生保の現状を捕らえることはほぼ絶望的だ。

● もちろん、保険業界人にすると、とても各紙報道だけで生保業界の実態を把握することなど到底無理なわけで、消化不良のまま何となく見過ごすことになる。しかし、17年度決算を各主要業績毎に分析・解説した「保険・かわら版」に準じて分析・解説をすると、何事もないかのような状況ではないことが浮かび上がってくる。

 

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★大地一成のブログ保険塾=1=★

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●  「定期付き終身保険」=第8回<マスコミ記事の本音>=!

(1) さてさて、本日の「読売新聞の定年@マネー=保険=」について、とんでもない”珍アドバイス”が記載されている。「定期付き終身保険の医療特約は、最長80歳までしか保障しないものが多い。亡くなるまで保障したいなら、単体の終身医療保険を夫婦それぞれが契約するよう、保険を見直すとよいでしょう」とある。敢えてこれをアドバイスしたFPの名前と会社名は略す。もっとも記事を見れば誰にでもわかるが。

(2) なぜ、これが”珍アドバイス”なのか。おそらくこのFP氏は、80歳までの医療保険(正確には特約)の仕組みをご存じないと思われる。これは「80歳満期の定期保険タイプ」である。しかも「解約返戻金有り」だ。つまり、この「読売新聞の定年@マネー」で例として記載されているような、昭和60年代の「医療保険・特約」は、80歳まで延々と継続すると余程、入院や手術をしない限り、契約者は支払った保険料を回収することはできない仕組みなのだ。

(3) では適切なアドバイスは、どうするかとなるが、「60歳以降解約」である。つまり、健康を条件に「医療保険・特約の『解約返戻金』」と相談して解約し、その原資を「老後の入院や手術の準備に資金準備」しておくのが賢い方法だ。(テキスト参照)

(4)このように説明すると「そんな乱暴な」と思われるかも知れないが、誰が80歳まで保有すれば「資産価値0」になる特約を後生大事に続ける必要があるか、甚だ疑問だ。とかく120日(当時の入院保障期間)の設定があることから、単純に120日×1万円というような計算をしがちだが、いくら高齢でも120日間入院ということは多くない。もちろん、退院からの免責期間もあることから、そう何回も120万円を受け取れるわけではない。

(5)ならば、その分を「現金資産で準備」するのが賢い選択だ。もう一つの”珍アドバイス”は「単体の終身医療保険を夫婦それぞれが加入」という点だ。これは保険料を計算すればすぐにわかることだが、仮に平均寿命まで夫婦で生きた場合、総合計保険料はいくらになるか計算すればその金額分を入院や手術で回収しようとすると、かなり頻繁にしかも免責期間をかいくぐりながら入院・手術をしなくてはならないことになる。

(6)はっきり言えば、「夫婦単体で医療保険に加入するのは、大損になる可能性が極めて高い」ということだ。特に若いときは、例えば奥さんが入院となると余計な出費が嵩むことから、子育てが終わるまでは必要かも知れないが、高齢になってから夫婦それぞれが加入するくらいなら「医療保険に加入したつもりで、その保険料分を貯蓄した方が賢明」だ。(テキスト参照)

(7) もっとも、このようなことを具体的に書かれると、保険会社もまた”珍アドバイスするFP”(自分で保険会社の代理店をしているケース)も困るわけで、早い話が「それは安心だ」として高い保険料を払ってくれる契約者もいないと社会は成り立たない。「医療保険」のほとんどのケースは、「自分が支払った保険料を先々戻してもらう仕組み」にすぎない。もちろん、その「戻す時期」が「早かろうが遅かろうが」、契約者は延々と満期あるいは終身保険料を払い続ける仕組みなのだ。

(8)もちろん、中には「役に立った」というほど入退院や手術をするケースがないとは言わないが、これなども「免責期間」などで保険会社が大きな保険金支払いにならないようちゃんと計算されている。

(9) 最後に今日の記事でヒットは「10月以降の高額医療費制度による自己負担限度額」のところ。簡単に言えば毎月8万円弱の医療費用が支払えれば、100万円の医療費用が掛かっても大丈夫ということだ。但しこれには「差額ベッド代等」は含まれないので、これは別途必要。また、気を付ける必要があるのは「高額医療費制度」は「月極」ということと、一般の場合「自己申告」が条件という点だ。少し嫌みな言い方をすると、時間が待てる病症なら、月初めに入院・手術が好ましいとなるが、痛みがともなうケースではそれどころではない、というのが本音だろう。 

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●  「定期付き終身保険」=第7回<マスコミ記事の本音>=!

(1) 昨日の「読売新聞・定年@マネー」の続き。サブタイトルに<暇つぶし>と入れたのは、記事の内容から「定期付き終身保険」を介した「FPのアドバイス」にも関連した内容と考えたからだ。暇つぶしに読んで貰えればくらいの軽い内容のつもりだ。が、本当はこれから説明することを良く理解していない、保険プロやFPが多いのも事実で、詰まるところ契約者からすると、当たり外れはある。

(2)できるだけ失敗することがないよう、契約者自身が知っておくべきこと、あるいは本物の保険プロやFPが知っておくべきことを少々説明しておきたい。

(3) さて、昨日の「入院特約などの80歳迄の件」だが、確かに60歳払込済みなら80歳までの20年間分を「一括払い」が原則だ。しかし、記事にはやや無理な設定がある。契約者・男性が58歳になって何も「夫婦特約」に固執する必要はあるまい。本人1万円の入院給付金に対し妻は6割の6000円が支払われる入院日額だが、このままの継続はいろいろなリスクが伴う。もし、60歳の時に80歳までの20年間分を支払ったとしても夫が死亡した時点で契約は終了だ。そこで妻の入院保障はなくなる。

(4) もちろん、それ以前に約200万円の20年間分保険料を支払うメリットがあるかとなると、かなり難しい判断だ。もし、不安なら「本人型」だけにして半分以下の20年間分保険料を支払うのも手だが、その場合でも主契約となる死亡保障分はいくらかは残す必要がある。記事ではいつころの加入か、終身保険がいくらかが不明なので、定期保険部分単体を減額できるか否かの判断ができないが、もし加入年齢が30歳代や40歳代なら減額等をしてそのまま継続が契約者として損をしない一つの方法ではあると考えられる。

(5) さて話題は本日付。とかく「子供が一人前になると死亡保障は不要」というようなかなり乱暴な一部FPの解説をマネー誌等で見かけ、”素人FPの戯言”に愕然とすることがあるが、今回登場のFP・K.E氏は的を射た記事構成になっている。むしろ、記事をまとめた記者氏が年齢が若いせいか、マネー誌等の受け売りが目に付く。

(6) 気になるところは冒頭の「もし、死亡しても遺族年金や貯蓄が十分なら、保険をゼロにすることが可能だ」とあるが、これはあくまでも机上の空論だ。そもそも、記事にあるような遺族年金等を読者のどれだけが貰えるか、まず疑問だ。いろいろなデコボコの人生があるわけだから、それを死亡した時くらい経済的にフラットの役割をするのが「生命保険の役割」でもある。おそらく記者氏は「簡保の養老保険に50歳代以上の主に男性が契約したがるか」をご存じないのだろうが、人生なんて机上に書いたニーズ通りにはいかない。

(7) もう1点気になった点がある。「継続しておいた方がよい保険もある」として「10年以上前に契約した養老保険などは」とあるが、やはり契約量からすると「終身保険」だ。所詮「終身保険は養老保険の一種」なのだが、一般的に「養老保険」は、余程長期満期ものでない限り、「高い予定利率を甘受」することはできない。例えば20年満期や30年満期なら、まだしも10年とか15年とかでは満期を迎えて、予定利率の高いこともジ・エンドだ。

(8)もっともこのような記事で注意を喚起すべきは「加入時にもらった設計書と実際の受取額との差」だ。例えば「10年満期や15年満期の養老保険」に契約した場合、その時点での「配当率による予想満期受取金」が設計書には通常書き込まれる。あるいは印字される。ところが配当金の減額でとても設計書通りの「配当金受取」はほとんどあり得ない。もし、契約者が設計書に書かれた「配当積立金」をアテにして老後の資金繰りを計画していたとしたら予定は大きく狂わされることになるのだ。

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●  「定期付き終身保険」=第6回<マスコミ記事の本音>=!

(1) 今日の「読売新聞」に「定年@マネー」のコーナーで「保険」が取り上げられ、2つの例が記事になっていた。一つ目は「27歳ころに、終身保険1,000万円・定期保険3,000万円・60歳払込済の『定期付き終身保険』」に加入したケース。毎月の保険料は約6万円。まず驚かされることは、よくもまあこのような例を引き合いに出したものだと妙な感心をしたが、しかし、アドバイスの結果約3万円になった、という解説には疑問が残る。

(2) とかくこのようなケースでは「予定利率が高いので定期保険部分を外して(解約)、終身保険だけ継続」というアドバイスが結構多いが、ただ30年前となると「定期保険部分は終身保険に組込型」の可能性が高い。つまり、終身保険と定期保険部分をバラバラに処理できなのだ。結果、全体を減らすには「減額」という手を使うしかないが、そうなると年齢からするとかなりの保障金額が残ることになる。

(3) 記事からすると独身で受取人も81歳の父親ということを考えると、「見直し後の約3万円の保険料」が果たして何のために今後支払続けていくのか、疑問だ。単純にこれまでの「定期付き終身保険」を「払い積み」などにして、新規に「毎月の保険料3万円くらいの個人年金保険」にでも加入したとするなら、それはそれで考え方もあるが、どうも記事からすると「どのようにしたかが不明」だ。

(4) 正確な加入内容は現物がないため断定はできないものの、おそらく現在の「解約返戻金」はゆうに400万円を超えることを考えると、この例では200万円ほどを「契約者貸付」で現金にして、残りを「払済」にしておけば、少なくとも500万円の終身保険は確保できるはずだ。それに間違いなく加入期間を考えると、「配当積立金」(毎年の配当金を積立にしていた場合)もそこそこあるはずで、この配当積立金をおろして、その金額に見合った温泉にでも連れていくのも親孝行だ。

(5) つまり、ここまでしっかり保険料を支払ってきた今回の例では、「契約者貸付で現金にした200万円を老後の医療保障」代として別途預金しておけば、新たに医療保険などに加入することも強いてあるまい。もちろん必要なら、アドバイスされたように約3万円を毎月貯蓄しておけば、5年くらいで180万円くらいがどんどん留まることになる。特に契約者に必要がなければ、既に現在加入している保険契約を丁寧に見直すことで、このような保険契約のケースは以降の保険料負担をなくすか大幅減少させることは可能だ。

(6) 強いて言えば、アドバイスしたのが、保険契約を取らないと手数料収入が得られない立場であれば、「アドバイス=新規契約」は避けられないわけで、この辺の捉え方はビジネスとしては難しいところだ。まあ、保険募集をやっていない私などは、先ほど説明したような内容にしたアドバイスをするだろうが、このような考え方は「代理店等をしていないFP」の立場でも同じだと思うが、要は「定期保険付き終身保険」の分析力がないと、とても「契約者に適切なアドバイス」などはできないことになりかねない。

(7) もう一つの事例は、・・・時間があれば、少々私なりのアドバイスをしたいところだが、この事例こそ、このトップで説明した「アリコのリンゴおばさん」のTV/CMの件だ。つまり、80歳までしかこれまでの保険はないから大変だあ・・・というアリコにしてはかなり深みのあるCMなのだが、実はこの例でもアドバイス次第で契約者の損得は大きな差となるから注意が必要だ。

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●「定期付き終身保険」=第5回<攻略編①>=!

(1) さて、今日から実践編に入ろう。「定期付き終身保険・攻略法」だ。問題は「配当金が契約時の通りであれば契約者の満足度は高かった」はずだが、幸か不幸か、「設計書に書かれた配当積立金は絵に描いた餅」状態である。つまりいくら契約時の設計書に「60歳時には約603万円の配当積立金!」と記載があっても、これはあくまでも契約時の配当率による「予想積立配当金」であり、保険会社が約束したものではない。ここまで書けば「定期付き終身保険」を理解している方は、ピンとくるはずだ。

(2) 生命保険の販売法にはいろいろあるが、まさか「保険にまだ加入していない人に販売しよう」などという奇特な考え方の営業員や代理店はいまい。また、いろいろな保険商品、特に健康状態に難があってこれまで加入できない人を探して契約しようなどという販売手法も同様だ。保険販売のセオリーは、「加入対象者が多い入り方を探す」のが、契約への近道だ。少しからかい目に説明すると、「生命保険に加入していない人」という対象はどのようにして探すかとなると、まず頭に浮かぶのは「乳幼児か高齢者」だ。しかし、これらの年齢層には「生命保険のニーズ喚起」は難しい。間違っても乳飲み子に「このお子さんが万一の場合は困るでしょうから生命保険を!」では、塩を蒔かれてしまう。もっとも「高齢者」の場合は、「資産の有無」で話は少々変わる。もし「相続税」が気になる財産を持っているなら「生命保険を通した相続税話法」はある程度の期待が可能だ。これまで再三私の「ブログ・かわら版」やHPで書いてきた「日本生命や東京海上日動あんしん生命」の「積立利率変動型終身保険」など相続財産如何ではかなりの魅力的商品だ。

(3) しかし、相続税も死亡保障もニーズがない高齢者となると、生命保険の対象者となる可能性は極めて低い。ただ、ダメ元で話をする価値はありそうだ。というのも、これまで民間生保はこの「高齢者層」の保険商品開発をないがしろにしてきた。ところが、この年齢層をコツコツと開拓してきたのは「簡保」である。200万円とか300万円とかの「養老保険」を積み上げてきたのである。もちろん「簡保の定期付き終身保険」でもこの年齢層がうまくいかされているといってよい。少し皮肉な言い方をすると、これからの高齢者層の貧富の差は拡大する。持てるものは「保有財産と年金類」で益々自己資産を増加させる。確かに社会保障はいろいろと厳しくなる傾向ではあるが、それでも働き盛りの年代に比べればまだ優遇されることは間違いない。しかし、保有財産も十分な年金類もない高齢者層がその一方に大量発生する。

(4) 保険契約対象者としてどこを狙うかである。ビジネスとしては少なくとも「保険料を払える人」が対象となる。その意味では、資産のある高齢者層は保険加入対象者なのである。但し、各生保により年齢により「加入金額限度額」が設定されている。かつての大手生保のように「50歳以上は1,000万円以上から取り扱う」などというようではこれから益々攻勢が予測される「かんぽ生命」の「定期付き終身保険」攻略を指を銜えて見ているだけになる。

(5) さて、では今すぐどうするかだが、攻略対象は「定期(保険特約)付き終身保険」である。実は17年度末で「1,654万件・390兆円」の「定期付き終身保険」市場が横たわっているのだ。もちろんこれ以外に類似商品である「利率変動型積立終身保険」が「679万件・139兆円」もある。この市場を見逃す手はない。しかもこれらの多くが「定期保険は『更新型』」なのである。

(6) 少し話を変えよう。「損保ジャパン」の社員が提携先の第一生命の保険商品が代理店チャネルで売れないことからノルマのために自腹を切って契約を計上した。なぜか。とかくこのような「作成契約」(中身は様々だが)は、少なからずどこの生保でも埋もれているのは間違いない。ところが「損保ジャパン」のケースでは、全国規模で作成契約が流行った。理由は簡単だ。「第一生命の保険工房」が普通の保険販売感覚では売れないからだ。というのもこの商品の基本形は「定期保険は『更新型』」である。何も資金力のある知人友人に10年毎に損する保険商品(10年更新型)を売りつけるほどワルではなかった、ということだ。

(7) つまり、『更新型攻略法』が身に付けば、市場は取り放題だ。どれだけ多くの契約者が『更新型』に騙されたか!とはいえ、やはり攻略のためにはそれなりの準備が必要だ。ただがむしゃらに突進しても壁は厚く跳ね返されるだけだ。これまでは、『更新型の欠点』を契約者に説明するだけで契約に至った時代が長く続いた。しかし、これだけ『更新型』マインドが徹底されると、そうたやすく契約者の多くも「気付く、理解する」というところまでいかない。やはり完璧な「理論武装が不可欠」なのだ。

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●  「定期付き終身保険」=第4回=!

(1) 基本的な保障型商品として「定期付き終身保険」は、極めて契約者ニーズに合った保険商品だった。例えば、契約途中で保険料支払いが困難になった場合、「終身保険と定期保険」の両方の解約返戻金から「自動振替貸付」を受けることがほとんどの生保商品ではできた。今でこそ「定期保険」だけからの、「自動振替貸付や契約者貸付」も可能な生保があるが、終身保険と定期保険に単体で加入すると定期保険は文字通り「掛け捨て保険」になるケースが当時はほとんどだった。

(2) ところで「定期付き終身保険」のメリットはいろいろあるが、その一つが「解約返戻金と配当積立金」だ。「解約返戻金」は、契約と同時に保険契約が継続する間の「解約返戻金額」が確定している。つまり、何年後には契約が正常に継続されていれば、○○万円が蓄積している、ということが契約と同時にわかるのである。この毎年の解約返戻金額を明記したものが「保険契約経過表」と呼ばれるものだが、「定期付き終身保険」を主力販売した大手生保のほとんど、否全部といっても間違いないと思われるが、この「経過表」すら契約者に開示しなかった。実は、この基本的な販売手法を取り入れていたら、ここまでパッシングを受けることはなかったはずだが、文字通り「契約者第一よりも企業第一」の企業戦略をとった。

(3) ただ、それでも当初の「定期付き終身保険」の場合は、「定期保険」が保険料払込期間と満期が同一のいわゆる「全期型」であったがために、少々乱暴な売り方をしても結果数字が契約者に取っては優位なことが多かったため問題視されることはなかった。もう一つの「配当積立金」については説明がややこしいが、いくつかの設計書の「配当積立金」例を説明することで理解しやすいはずだ。(テキスト参照)

(4) 「30歳・男性・60歳払込の終身保険500万円、定期保険4500万円」の「定期付き終身保険」に、もしバブル絶頂期の昭和60年ころに契約すると、30年後の60歳時には「通常配当約603万円と特別配当約105万円」が配当積立金として蓄積している、と設計書にはある。これは、当時の「配当率」で毎年配当が出た場合、30年後にはこれだけの配当金が蓄積する予定という表示なのだが、説明するまでもなくこのような”超高配当”は平成に入りどんどんなくなり、最近では超低配当が当たり前になってしまった。

(5) もし同じ内容の保険に、平成2年度に契約したとすると「通常配当約408万円と特別配当約186万円」と、だいぶ昭和60年に比べると減ってはいるが、現在と比べると、夢のような配当積立金額ではある。ところがこれが平成6年度になると「通常配当約155万円と特別配当約185万円」となる。(テキスト参照)

(6) ここで1点注意が必要なのが「定期付き終身保険は払込満期がきたら保障は終身保険だけになる」という説明だ。上記の例で言えば、60歳になると、60歳前に死亡すると5,000万円だが、60歳を過ぎると終身保険の500万円だけになる、というもの。確かに商品構造上はその通りなのだが、もしかの高配当が期待できたとすると、この「終身保険」に「配当積立金」が加算されることになる。昭和60年ものなら、約603万円の通常配当金が蓄積していたはずだが、実際は当然大きく減った金額が30年後には蓄積していることになる。但し、かといって最近の例でもこれだけの「定期保険」の場合は、当年度配当金が「0」になるケースは極めてマレで大概のケースではいくらかの配当金が出ている。つまりこの配当積立金額は、設計書とは大きくかけ離れるものの、全くのゼロではない点に注意しておきたい。

(7) ところで、実はもう一つ「隠れた解約返戻金」が「定期付き終身保険」のほとんどに潜んでいる。もちろん「解約返戻金」ということから蓄積している金額は「確定」である。金額は個々の契約で異なるとはいえ、大概のケースで何十万円となる。(テキスト参照)

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●  「定期付き終身保険」=第3回=!

(1) 「定期保険の『更新型』」については、図表無しでは説明がしづらいので、その知識を早く知りたい方は「生命保険これがホント」(私のHPの出版物)のところから購入して読んでいただきたい。さて、今日は、「定期付き終身保険」が如何に契約者ニーズに即した保険商品であったかを説明してみよう。

(2) 最近の傾向として「終身保険+生活収入保険(保険金分割支払いタイプ)」の組み合わせが、保険料が安く合理的な保険の入り方、として積極販売されている。もちろん「終身保険」はいろいろなタイプの商品が販売され始めているので、組み合わせとしては多種多様になるが、問題は「生活収入保険」の安易な販売だ。この商品の特性は、あくまでも「現在の生活を維持できる生活資金をカバー」が一般的考え方だ。そして大概の場合ある一定年齢で保障は終わる仕組みだ。(テキスト参照)

 問題点は3点。①:インフレヘッジができないこと。②:生死を彷徨う状況下の場合、果たして保険金受取金額が逓減していく仕組みに対して納得できるかどうか。また、死亡した場合の保険金額が明確でない、計算しないとあるいは経過表を見ないとわからない、というのでは困る。③:契約後早期死亡のケースでは、確かに分割受取の場合高額な保険金を受け取ることができるが、一般的にこのようなケースでは妻の年齢は若い。となると、再婚の可能性が高くなるが、実際問題として毎年(月)、前夫からの死亡保険金を受け取るというのは抵抗がある。結局、一括して受け取ることになるだろうが、となると、「亡くなったご主人が天国から生活資金を届ける」というフレーズにはかなり抵抗を覚える。(テキスト参照)

(3) ただ、敢えて説明するまでもなく「必要保障額」のカバーには「安い保険料」で対応できるメリットはある。課題は、「最初から生活補償型」なのかあるいは「一つの選択肢としての生活補償型」なのか、だ。どうも最近の傾向としては、かつての大手生保が「何が何でも、定期付き終身保険は『更新型』」とした、悪夢の日々を思い出させるのだ。つまり、保険料を支払えしかも将来も安定した保険商品加入を望む契約者には、「箱形の定期保険」をちゃんと説明するべきなのだ。言うまでもなく、「箱形の定期保険」の大前提は「解約返戻金」がある定期保険だ。(テキスト参照)

(4) 最近の一部保険会社で見落として保険商品開発をしているのは、「安い保険料=契約増」という誤った考え方が増殖していることだ。確かに長期デフレの時代には歓迎された保険の価値観だった。しかし、これからは中身が問われる時代だ。例えて言えば、自動車保険を販売する代理店の多くは「通販自動車保険を、”安かろう、悪かろう”」と言う。もっとも最近では自動車保険の細分化が進行したことで、この通りとは言えなくなったが、それでも少なくとも「事故対応」とか、「商品説明」には自信を示す代理店が多い。つまり「安心できる保険には何らかの付加価値がある」のである。当然その分、保険料は高くなる。

(5) 定期保険で保険料が高い、その代償は「解約返戻金」の存在だ。もし、高い保険料でも可とする契約者なら、契約から一定年齢まで「同額の保障」を得ることができる。急病で入院することになっても「今、俺が死んだらいくらだ?」などという余計な心配はしないで済む。余談だが、もし生活補償タイプなら「どうせ亡くなるならできたら今年中にお願い。そうすると貰える保険金が○○万円多いの」などという冗談も不要だ。

(6) もちろん、「定期保険に解約返戻金などの経過表」は必需品だ。理由は満期前に健康であれば「解約」するためである。そのためにはできるだけ保険期間は長期に設定しておきたい。こうしておけば、60歳や65歳で「定期保険の解約返戻金」を老後資金の足しにすることもできる。(2)のところで、生活補償型の欠点を3点上げたが、逆に「箱形定期保険の長所は、解約返戻金の蓄積」だ。(テキスト参照)

(7) 長い人生、契約時の生活環境が続くという保証はどこにもない。毎月「安い保険料で得した」と思っていても、肝心の保険料の支払いさえ困難に陥らないという可能性は決してゼロではない。そのようなとき「定期保険に解約返戻金があるかないか」で人生は大きく変わるのである。「解約返戻金」があれば、「契約者貸付」ができたり「自動振替貸付」ができたりと、契約者のもっとも重要な「死亡保障」をなくする可能性が少なくなるのだ。もちろん「定期保険の契約者貸付・自動振替貸付」(テキスト参照)などができる生保とできない生保があるが、これからの景気回復による契約者の選択肢が豊富になることによる「安心・安定した『定期保険選び』」のためには、契約者ニーズに即した「定期保険販売」が絶対条件だ。

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●  「定期付き終身保険」=第2回=!

(1) まず基本的なことから説明すると「定期付き終身保険」には大きく分けて2種類ある。『定期付き終身保険』と『定期保険特約付き終身保険』だ。生保によって商品の呼び方は異なるが、両商品の違いは「定期保険部分の取扱」が異なる。つまり前者は「終身保険に定期保険が組み込み型」になっている。ところが後者は「終身保険が主契約でそれに定期保険は特約で付加されている」構造だ。(テキスト図参照)

(2) 実は「定期付き終身保険」のルーツは意外と古い。昭和43・44年頃の「2倍型や5倍型」に遡る。つまり、終身保険100万円に対し、定期保険が100万円組み込まれた「定期付き終身保険の2倍型」という中身だ。もちろん定期保険が400万円なら、5倍型となる。ところで、この場合の「定期保険」は、終身保険の保険料払込期間と同じ期間の定期保険を組み込む形式を取っていた。つまり「全期型」である。

(3) ここまで説明するとおわかりだろうが、現在の「簡保の定期付き終身保険」はこの民間生保の原型の「定期付き終身保険」なのだ。現在の民間生保の「定期付き終身保険の定期保険部分」は先ほどの後者に当たる「定期保険特約付き終身保険」である。(テキスト図参照・変遷図も参照)つまり、昭和62年ころに”開発”された「定期保険・特約タイプ」は、定期保険の期間設定が自由にできることから、いわゆる『定期保険・更新型』のはしりとなった。

(4) 説明するまでもなく、当時の国内生保の「保険商品・保険料・配当金」などは護送船団行政の賜でほとんど横一線で経営がされていた。つまり、「どの生保でも同じ」という時代だったのだ。ところが、例えば30年満期の定期保険を設定するより、10年満期の定期保険を更新させていく方が加入時の保険料が少ないことに目をつけた●●生命(テキストでは実名)は、「他社よりも保険料が安いことを売り」にして販売を始めた。そしてこれに追随したのが●●生命(テキストでは実名)だった。当時の業界1位・2位生保の「日本生命と第一生命」の経営陣は「保険期間全体では保険料が高くなる。加入時だけ保険料が安いことを強調するのは如何なものか」と販売に難色を示していたが、その売れ行きの良さに負けたかのようにして、本格的に「更新型参入」していくことになる。

(5) 平成の始めは、まだ「生保不安」はなく、「生保が破綻」するなどという懸念は全くなかった、といってよい。もっとも実際に破綻に至った生保の多くは、このころから「予定利率の高い、保険料収入が多い保険商品を主力販売」していたので、その足音はヒタヒタと迫り始めてはいたのだが。       ところが「保険料が安い」という耳障りの良い響きは「多くの契約者」を「定期保険特約付き終身保険・更新型」に大量契約させていくことになる。

(6) ところが、この「定期保険特約付き終身保険・更新型」は、契約者にするととんでもない”食わせ物”だったのだ。少々荒っぽい言い方をすると「騙された」と言っても間違いないケースが山積した。この中身は次回に譲るが、もし簡保が「更新型」の「契約者損失」を指摘してくるようだと、現在の大手生保にとってはかなり手強いことになるのは避けられない。つまり「定期付き終身保険が定期保険特約付き終身保険」を攻略することになりかねないのだ。      

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■             大地一成の保険塾・第2回(8月20日)          ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 

●  「定期付き終身保険」=第1回=!

(1) さて、今回「なぜ、今、『定期付き終身保険』か?」という疑問を持たれた方も少なくないはずだ。ひと言で言えば「生命保険契約を取るため」である。ややもすると「がん保険や医療保険などの第三分野商品がトレンド」とばかりにいわゆる「死亡保障保険」への関心を薄めさせられているのが現状だ。しかし、医療保険を例に取ると、年間保険料相当分を10年間に分割して手にする(注:保険会社・商品・年齢等により異なる。以下同じ)ための「1件」でも最近の商品の複雑化で説明と説得にかなりの時間を要するようになってきた。

(2) それでも、初年度手数料を保険料の半年分のケースでは、毎月P(保険料)が、5,000円なら、1件契約でほぼ初年度3万円の手数料が手にできる計算だ。計算上ではこの契約を毎月10件契約していくと、3年後、5年後には年収何百万円・・・というような、かなりバラ色の人生が待っているはずだが、そもそも毎月10件など、多くの場合夢のまた夢だ。

(3) しかも1件の契約に費やす時間と労力は「保障型保険」を説明・説得するのと大差なくなってきた。とするなら、より手数料が高い保険契約に軸足を置くのが賢い営業だ。と、このような言い方をすると「最近は死亡保障保険は見向きもされません」と、したり顔の”苦情”が殺到する。           では、「生命保険は第三分野商品しか売れない?」かとなると、もちろんそんなことはない。17年度でも「定期付き終身保険は約42.6万件」も売れているのである。同型の「利率変動型積立終身保険の約81万件」を加えると約124万件の新契約件数だ。これがいかに凄いかは「損保系生保8社(他の2社は商品特性から除く)の17年度新契約件数が約83.4万件」ということからも明らかだ。いうまでもなくこの約83.4万件の中には、第三分野保険商品も含まれている。

(4) 「定期付き終身保険」類を主力販売しているのは、国内(大手)生保群だ。商品の中身については順次説明していくとして、なぜ「定期付き終身保険をよく知る必要があるか」だが、基本的な死亡保障保険のコンセプトは「定期保険+終身保険」の大枠にほとんど治まるからだ。つまり、合理的な生命保険の入り方のための保険商品が「定期付き終身保険」なのである。最近の各種保険商品は「定期保険」を、平準型、逓減型、逓増型などや分割支払いタイプを主力にした生保など様々だ。これに「終身保険」は、文字通り、払方を変えたり利率変動型にしたりと各社の特長がでている。

(5) ところで、「定期付き終身保険」をよく知ることは「保険契約を取るため」と説明したが、実は「新契約件数」はわずか約124万件でも、その「保有契約件数は『定期付き終身保険:1,654万件・利率変動型積立終身保険:679万件』の約2,332万件」も生命保険市場に埋もれているのである。もちろん、この約2,332万件の「定期保険付き終身保険類」が契約者にとって納得できる有意な保険設計なら何も文句の付けようはないのだが、そうではないところに「定期付き終身保険攻略のヒントがある」のだ。

(6) しかも、今「定期付き終身保険」を学習する必要が緊急課題なのは、間違いなく「かんぽ保険」の「定期付き終身保険・本格参入」で、生保市場は間違いなく「定期付き終身保険」に脚光が浴びることになる。ところがもしその後に及んでも「民間生保の『定期付き終身保険』と現在の簡保の『定期付き終身保険』の違いを把握できていない」ようでは、保険プロは失格だ。明らかに両社の「定期付き終身保険」は異なる。しかも今は簡保は「2倍型と5倍型」だけだが、保険金額の限度である1,000万円の10倍型を発売すれば、爆発的に契約高が増える可能性がある。民間生保の「定期付き終身保険・保有契約の1件保険金額が約2,300万円余り」ということを考えると、簡保は限度1,000万円でも十分にやっていけるのである。当然だが、完全民営化になったら、同一競争の原理から1,000万円の限度枠は撤廃されるのが自然だ。

★第3回は「簡保と民間生保の定期付き終身保険の違い」!

 

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■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■             大地一成の保険塾・第3回(8月2X日)          ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■             大地一成の保険塾・第1回(8月12日)          ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 

●  アリコのCMの奥が深いリンゴオバサン!

 大概のセミナーでは、本題に入る前に場の雰囲気を和らげるために今のホットな話題をまず取り上げることが多い。となるとやはり一番受けが良いのは「アリコのCM」。とにかくよくぞここまで”物語”を考えるものだと感心するくらい次から次へと映像が流れてくる。AIGの株価とか少々ヤバイ噂話とかは今日の話題にはそぐわないので、カットして、最近気になる「アリコのCM」から一つ。

● リンゴオバサンが方言で「80歳」を連呼するCMの深い意味!

● ほとんど昼間しか見たことがないTV/CMだが、青森と思われるリンゴの木の上で「80歳になったら保険が切れる」を方言でしゃべる年配のオバサンCMだが、それを標準語に直して再度「80歳になったら保険が切れる」を印象づけるCM。もちろん「アリコなら80歳でも入れる」を強調したCMなのだが、このCMの大量放映は、「定期付き終身保険」を大量保有している大手生保に取っては、目障りなCM.

● 実は「定期付き終身保険」の「医療保険関係・特約」は、80歳で満期を迎える仕組み。つまり、「80歳を過ぎたら入院保障がなくなるよ」をややコミカルに強調したCMなのだ。もちろん単純に高齢者対象に新規加入を促す目的もあるが、本音は「定期付き終身保険攻略」の一つ。

● もし、「定期付き終身保険加入者」の「医療保険関係・特約」の説明がちゃんとできれば、このCMは効果が期待できる。「80歳になってからでは保険料も高くなるので今のうちにちゃんと手続きしておきましょう」といわれると、それまで掛け続けてきた「定期付き終身保険」を変更してくれるかも知れない。もっともこのトークは、通販では無理なので、直販・代理店だけが使える話法。

● もっと、深読みをすると「定期付き終身保険」に付加された「疾病特約や成人病」などの特約には「解約返戻金」がある。もちろん満期の80歳では0、だからその前に解約するとそこそこの「解約返戻金」が払い戻される仕組みだ。ここの理解があるとないとでは攻略の手順が大きく狂う。(この部分については、図表での説明が必要のため「定期付き終身保険」のテキストを参照)

● 肝心な保険商品の中身については、美川憲一風に「勝手にすれば~」というところ。要は「支払う保険料と支払われる保険金」を冷静に比較すれば、だいたい模範解答は出るはず。

★お待たせしました!いよいよ、開講!

● 開講前夜までのドタバタ!

 予定では、テキストを作成しそれに準じてこのブログで解説をしていく、とやや気軽に考えていたのですが、実際にスタートするとなると、あれもこれもと時間を要することが次から次と出てきて、えらいことに頭を突っ込んだなあとやや自戒。

 もっとも困ったのはテキスト。②の「定期付き終身保険」は、これまで使用していたセミナーの資料をベースに後はプリントアウトすれば済むことだからとタカを括っていたら、予定数をかなり超過することになり、それの作業を委託するところまでは良かったのですが、ファイルを送るトラブルでまず一頓挫。さらに①の「38社生保決算」は、生保全体の数字を記入するところがあるため、生命保険協会の年間概況発表を待って再編集に取りかかったが、意外とこれが図表に絡むため結構な時間が掛かり二頓挫。③の「FP関係」は、当初から最近の「マネー誌」等からのQ&Aを「かわら版」的に作成していく予定だったため、まあ、時間的には余裕を持っていたのですが・・・。

● とにかくGO!GO!GO!

 まあ、ここで言い訳がましいことをいくら言っても事態は好転しないわけでとにかく諸々同時進行することにした次第で、テキストはでき次第順次送付していきますので、もうしばらくお待ち下さい。

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生保38社の「基本業績」分析!=②=(テスト版)

★ 合従連衡の行方 ★

● 17年度決算を分析し、今後の生保各社の動向を読む前にこれから起きるであろう「生保のM&A」について少し解説をしておきたい。テキストは○頁。今後2,3年の内に生保名が変わる可能性がある生保を並べたのが(表①)だ。表題は「生保名が変わる」と題したが、この中身は実質買収もあれば、文字通りの対等合併もある。もちろん親会社の都合で必然的に生保名が変わるところもある。週刊誌的に言うならば「大胆予測」ということになるだろうが、敢えて言えば「2,3年」という枠を外せば、対象とした生保は生保名が変わる可能性が極めて高い、と考えられる。もっとも中には、元株会社方式により、社名がそのままというところもあるかも知れない。

● 国内生保9社の中では「4社」を挙げる。(表①)の「解説」にも書いたように(1)の案件は2社統合だが時間の問題。とはいえ、この時間は1ヶ月2ヶ月ではなく1年2年の単位。さらに銀行の采配如何のためタイミングが難しい。また(2)については、実質買収してくれないととてもこれからの保険料・配当金競争時代には単独では付いていけない。ただ、高い保険料・少ない配当でもどうにかやっていけないことはないが、今後「配当金」はいろいろとクローズアップされてくることを考えると、どうにか体力が復しかけた今がチャンスでもある。4社目となる(3)は、以外かも知れないが、しかしこの生保の回復が思わしくない場合はこの選択肢が浮上する。

● 国内の他の生保や外資系生保は(表②)だが、(1)は、親会社の意向が強く相手さえいればというところだが、親会社の本社移転がまず先と思われる。(2)は、親会社の売却のため生保名変更はやむなし。(3)の両社についてはテキスト止まり、に止めておきたい。但しその可能性は確率5割と踏んでいるがどうか。また(4)(5)については、買収先さえ見つかればというところだが、新規参入組みはここのところほとんど苦戦しているので、果たして相手がみつかるかどうか。(6)(7)は業績不振で赤字が拡大しないうちに何とかしたいところだが、現状は身動きできない状況が続く。

● 損保系生保では~~~。

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★大地一成の・ブログ保険塾★開講準備中!

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
「大地一成の・ブログ保険塾」開講
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

● かねてより、系統立てた保険情報の伝達手法はないかといろいろ検討を重ねてきた結果、このブログhttp://daichi-issei.cocolog-nifty.com/blog/2006/07/__11c0.html#moreで「大地一成の・ブログ保険塾」をいよいよ開講することに致しました。

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■ 8月1日同時開講!■
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①講座【生命保険業界の現状=17年度生保決算=】
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②講座【「定期付き終身保険」徹底研究!】
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
③講座【FPのための生命保険講座】
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■ これまで全国各地で講演会/セミナーを開催してきましたが、これだけインターネットが浸透した時代にもっと効率よい伝達手段はないかを検討してできたのが今回の「大地一成の・ブログ保険塾」です。
 つまりブログでは「文字」伝達は可能なのですが、図表は困難という点を「テキスト」を事前送付することで、その図表を見ながらブログで説明を見るというシステムにしました。

■ 受講料は、当面無料ですが、内容を正確に理解するために「テキスト」(A4版×32頁建て。保険・かわら版仕様)の購入をお願いいたします。

● なお「テキスト」は、今回が初めてのブログ版のため1科目「モニター価格1,050円」(税・テキスト送料込)でお送り致します。

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【送金方法】

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 必ず、受講項目の番号を備考欄に書いてください。(例:①・②・③)
 なお「送金手数料100円」はご負担をお願い致します。
(受講料例:1講座・1,050円、2講座・2,100円、3講座・3,150円)
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● 「モニター」としての第1回募集定員は、約100名の方を予定しています。なお、③の「FPのための生命保険講座」については、FPの資格の有無は問いません。

● 募集期間は特に設定しませんが、定員に達し次第、「第1回〆切」とさせていただきます。ここへの表示で案内致しますので、以降は「第2回受講受付」をお待ち下さい。
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■生命保険物語■=第22話=

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■  <生命保険物語=第22話=>■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 セーヌセンターへ帰るないなや、金満部長にことのいきさつを報告すると、
「じゃあ、明日は支社の赤顔法人部長に一緒に行ってもらいましょう」
 ということで、どうやらわたしたちはその部長に付いていくだけでいいらしい。

「えーと、すると現在役員の方が3名、社員の方が6名・・・ですか?」
 昨日は、確か全員で11名いると言っていたけど。
「そうですか。あとの2名はアルバイトなんですねえ」
「そう、そうなのよ。それではダメ?」
 雰囲気は、みのもんたのクイズ番組状態で、美人専務は赤顔部長をのぞき込んでいる。
「分かりました。何とかしましょう。」
 確か「団体定期」は、ちゃんと働いている正社員が対象のはずだけど・・・どうするのかしら。

「えーと、この書類に印鑑とあとは11名で各300万円ずつの保障金額で毎月12,550円です。」
「アー、よかった。これで来月安心して社員旅行に行けるわ」
 急に決まった「団体定期保険」だったので、その加入理由を聞きたいとは思っていたけど余計なことを聞いてそれで契約がキャンセルになるのでは元も子もないので、ちゃんと書類が済むのを待っていたの。
 どうやら、同じビルの他の会社で社員旅行に行ったら、旅行先の事故で若い方が一人亡くなったらしい。ところが、崖から落ちたことが原因のため会社として何らかの弔慰金を払うことになったけど、何も保険に入っていなかったらしいの。就業規則も市販のもので間に合わせていたので、とてもちゃんとした退職金規程もなく、そのための資金の蓄えも会社になかったために、何とか200万円を工面して払ったらしい。

「なるほど、そうだったんですか。で、その会社はどうされたんですか?」
「どこかの保険会社に入ったらしいけどそれが保険料が安くて済むこの団体定期だったのよ」
 と、そこに50歳代の女性が入ってきた。
「あっ、この会社よ。」
 偶然にも団体定期保険に入ってないで大変な思いをした、田中工業の社長の奥さんが来たの。
「あら、保険屋さん。まさか、飛んでも発憤生命ではないわよねえ」
「いえ、平成生命です」
「なら、いいわ。奥さん、あそこだけは止めた方がいいわよ」
「どうされたんですか」
 赤顔部長が聞くと、
「いえね、今月1人辞めてしまうので、その連絡をしたら、これから6ヶ月以内に補充ができないと団体定期保険は自然解約になります、って電話口で冷たく言うのよ。これって腹たつじゃあな~い」
 ここまで黙って聞いていた赤顔部長が、
「それは、酷い話ですねえ。」
 と、早速田中工業に行き、団体定期の説明を始めたの。
 そして1時間もしない内に、もう1件の団体定期保険を契約してきたの。
 どうやったのかしら・・・。

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■  <生命保険物語=第23話=>■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

「いやあ、わかばさん、ありがとう。」
赤顔部長がお酌をしてくれる・・・。
「でも、わかばさん、クリーンヒットねえ。おめでとう。」
金満部長も褒める・・・。
どうやら、「団体定期保険」が2件決まったことが余程良いことらしい。
「でも、部長さんが一緒でなかったら、とても契約にまでは・・・」
「いやいや、あそこまで段取りが出来ていれば、もう後は事務処理だけだから。」

「これで、支社もよかったですねえ。」
「ほんとに、そうなんですよ。私の首もつながったし。」
「そんな、冗談を。」

何かわたしには意味不明の金満部長と赤顔部長の会話が続く。
「ところで、部長さん、あの田中工業さんの人数の件、どうされたんですか。」
どうしても解せない質問を少し酔いが回ったことも手伝ってしてみたの。
「ウーン、種明かしかあ。まあ、しゃあないなあ。」

 赤顔部長が渋々教えた9人を10人にしたカラクリとは、こうだったの。
確かに、田中工業には9人しか「団体定期保険」に入れる資格者はいない。しかし、その資格が該当するかしないかの証拠は当時の「団体定期保険の書類」には一切不要だったの。つまり、この人たちが「加入条件に合致しています」とする名簿を添付すれば事務処理上フリーパスだというの。
 そこで、窮余の一策として「田中工業の担当税理士」の名前を付け加えて10名にしたという。名前の通り赤ら顔をさらに真っ赤にした赤顔部長は、続ける。
「うーん、難しく言うと税理士は該当者にはならないんだけど、まあ、生活の知恵かなあ。」
 とにかく新規で団体定期で成立させるには、「10名」いなければ手のつけようがない、だから「知恵」を使った、ということらしい。さらに、
「時効だから言えるけど、以前は飼い猫のタマちゃんや番犬のタロウクンが立派な従業員という時代もあったけどねえ。」
「えっ?ネコやイヌが従業員、ですかあ?」
「しかも、年齢を若くしてその会社の平均年齢を下げる・・・すると、70歳の会長さんも少ない保険料で加入できる・・・。あっ、こんなことここだけの話だよ。」

 よく意味は飲み込めなかったけど、かなりインチキなことがまかり通って来たらしいことだけは分かった。
「じゃあ、あのアルバイトというのも・・・」
「アルバイトじゃあ、もう丸、丸、二重丸!」
 と、両手で大きな輪を作る。
「ふーん、そんなもんなんだぁ。」
「もちろん、窮余の一策ですよ。」
 金満部長がまあまあと赤顔部長を遮るように言葉を挟む。

「しかしねえ。わかばさん、この2件は嬉しいよ。」
 余程、嬉しかったらしい。でもなぜ?もちろんこの時は赤顔部長を「いい加減な部長」と思っていたんだけど、大手生保のサラリーマンの性を招待旅行から帰ってきてから偶然にも聞かされることになったの。

[注意]「団体定期保険」についての加入条件等は当時とは異なっていますので、混同されないようにして下さい。なお、昭和末頃までの「団体定期保険」の加入チェックは、タマちゃんやタロウクンを従業員にしたかどうかは分かりませんがその確たるチェック機能がなかったため、かなりアバウトな加入が可能でした。

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生命保険物語=第20話=

■ 「旅行招待」のウラには本社から経費が・・・!

 生命保険会社の招待旅行となると、大型バスを何台も連ねて文字通り「○○生命御一行様」となる。そりゃあ、旅行業者からすると実に有り難いお客様でシーズンになるとどこのホテルでも引く手あまたで旅行業者としては笑いが止まらない。

 とにかくこれだけ利益率が高い団体さんはそう他にはない。ホテルの単価は値切れるししかも大概の場合、保険会社の主催者は○○支社というのがほとんどだから、旅行交渉の相手は素人。もちろん「言い値」でとはいかないにしても、少し工夫をすると「良い親切な旅行業者」というお墨付きを貰える。当然のことながら盆暮れのお届け物を支社長と支社長代理にちゃんとしておけば、年に3回は使ってくれる。

 ホテル側にしても、こんなにオイシイお客はいない。一般のお客だと「一泊2食付き」で、2人で4万円なら、50組が泊まっても200万円程度。しかも余程のお客でない限りホテル内のクラブや飲食店などそう使っては貰えない。そもそも部屋にある冷蔵庫など空になることなどまずない。ところが、保険会社の団体となると、何と言っても普通の4人部屋に6人でも場合によっては8人でも詰め込める。大宴会はつきものだし、クラブもラーメン屋も寿司屋も大繁盛は間違いない。
 例えばラーメン一杯1,000円でも1,500円でも部屋のサインでOKだから、とにかく人さえ入ってくれれば高い安いは関係なし。もちろん、これにビールだ、餃子だとなると、一人単価は跳ね上がるという寸法。

 まあ、招待旅行というだけあって、招待されたセールスは自腹を切るところはほとんどない。ラーメンにしても、わたしたちは宮崎取締役の「ここのラーメンは俺の奢りだ」ということで、「美味しかったです。ありがとうございました。」で済んでしまう。
 もっとも、ホテル側も通り一遍の仕掛けでは、次の招待旅行には使って貰えないから、宴会の最中に「マグロの解体ショー」をやってそれをみんなに振る舞ったり、今回の「ホテル日光一番」の場合など、美人女将が舞台の裾で「お竜さん」並の挨拶をしたり・・・。

 「みなさま、本日は数ある日光のホテルの中でも由緒ある当ホテル日光一番においでいただきまして誠にありがとうございます。日頃のみなさまのご活躍に益々磨きが掛かりますよう今日は日光名物の『幻のどぶろく日光一番』をご賞味いただきたいと、私と今日の料理を誠心誠意調理させていただきました料理長からここにお持ち致しました。」
 和服姿できりりとしまった口上とともに、一升瓶数本が並べられ、早速浜田支社長が名指しで舞台の上に呼ばれると、直径30センチもあろうかと思われる焼き物の大杯にどくどくとその幻のどぶろくが注がれる。
 「こりゃぁ、うまい!」
 そして大杯を持って上座の方から注いで回るんだけど、そのたびに「これはうまい!」と歓声があがる。今流で言えばイケメンの料理長は、年配の女性に恭しく注いでいく。

 「みなさま、おいしいどぶろく、如何でしたでした。もう一杯欲しいという方もいらっしゃるでしょうが、この『どぶろく日光一番』は門外不出のお酒でして、当ホテルでしか販売しておりません。噂では駅の近くの酒屋さんでも売っているという話も聞いたことがありますが、もし、ご主人様やお客様にぜひ飲ませてあげたいという方は、明日の朝、フロント横の売店で限定50本用意させていただきますので、どうぞお買い求め下さい。あら、いつの間にか宣伝になってしまいましたわ。」
 と、上品に笑うと、間髪入れずに、
「よしッ、買って帰るぞ。」
 かけ声が入り、どっと沸く。すかさず、
「ありがとうございます。実は私ども家族全員、生成生命様の『家族ハッピーハッピー保険』に加入させていただいております。これも何かのご縁、今後ともなにとぞご贔屓にお願い申し上げます。」

 こうなると、もう爆笑と拍手の渦。このウィットに富んだそつない挨拶も、ちゃんと女将は計算尽くで、明朝の「お土産の売上げ」をさりげなく誘っている。実は、この「お土産」の売上げがホテルにすると馬鹿にならない。セールスのお客の数に比例して「お土産」は売れるからなの。少なくとも一人何千円から多いと何万円も買ってくれる上得意客に変身するの。もちろん、宅配便で送るから段ボール箱が何十箱もフロントには翌朝積み上がることになる。

 ところで、一人5万円の招待旅行の経費、どこからでるの・・・。関係ないこととはいえ少し気になる・・・。強引さんと深夜の露天風呂に入り、自分の寝る部屋にそっと入ったんだけど、どうしてテレビだけが!

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■  <生命保険物語=第21話=>■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 部屋は暗かったんだけど、人の気配がする。もちろん5人が雑魚寝しているはず。そっとドアを開けると、床の間近くのテレビに5人が釘付けになってる・・・。思わずその画像を見て「あっ!」と立ちつくしたの。何とアドルトビデオなの。
「わかばさん、あーら、いいとこにお帰りねえ。」
 まだ年はわたしより若いんだけど、これまでクラブに勤めていたとかで男あしらいがうまい明美ちゃんが振り返りながら言う。もうすっかり目が据わってる。
「さあ、もう今夜の勉強はおしまい。」
 今度の旅行ではこのグループで最年長の青木さんが言うと、渋々布団を敷くために壁際に寄せたテーブルに集まる。

「でもさ、みんなよく来れたねえ。」
 青木さんが口を切ると、それぞれが旅行入賞までのいきさつを語り始めたの。
「実は、主人と私と友達が一緒に入ったことで、入賞しちゃった。」
「そんならまだいいわよ。増員してくれた先輩が、あんたも行きたい?って聞くもんで、そりゃあ行きたいです、って言ったら足りなかった1件を付けてくれて、おめでとう、入賞って」
 やおら明美ちゃんが私の前にビールをもってきたの。
「私がこれたのは、わかば先生のおかげ。」
 恭しくビールを注ぐ。

「あれ、あれを分けてもらったの」
「何よ、あれ、あれって」
「何とか定期・・・えーと」
「あっ、それ違うよ。ちゃんと明美ちゃん自分でもやったんだから」
 会話がかみ合わない。

 月が変わった2日か3日、セーヌセンターで月末〆切の申込書類などの整理を済ませ、何となく手持ちぶさただったところへ、明美ちゃんが、時間があるなら飛び込みしません?と誘いかけてきたの。
 暇をもてあましていたこともあり、それじゃあ、飛び込みしようか、とほんの軽いノリで歩いて行けるオフィスが固まって入っている雑居ビルに手当たり次第に飛び込んだんだけど・・・。

 ところが、ウソみたいな話。飛び込み一発で「団体定期保険」が取れてしまったの。もちろんわたしも明美ちゃんも見たことも食べたこともない・・・つまり、何も知らない保険。でもこういうとき、わたしは結構それらしく説明してしまう。
「え、えー、そうです。はい。はい。はい」
 と、研修で習いたてのおぼろげな知識で返事をしていると、
「じゃあ、それで契約するから、手続きして。」
 と、専務の奥様が返事したの。
「それでは、明日書類をお持ちしますのでよろしくお願いいたします。
 と、飛んで帰ったんだけど、これが「団体定期保険」という代物で、しかもここからてんやわんやの騒動が起きたの。

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生命保険物語=第19話=

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■ 生命保険会社の裏側が続々と・・・!これはホントうぅ・・・?

 「ラーメン屋うまか」をでると、強引さんが、
「さあ、部屋で3次会よ。」
 と、わたしの腕を引っ張る。もう、少しは眠たいのだけど今日の出来事が頭の中で混乱していて、とても寝付けるような気分じゃあない。

「ねえ、ねえ、どうやら宮崎取締役と金満部長、まだうまくいってるみたいね。」
 部屋に入るなりこう切り出したのは、品川支部の入社10年目の新人、噂好さん。
「そりゃあ、あんた、そう簡単には分かれられないわよ。」
 地獄耳さんが自信たっぷりにのたまう。
「今でも、会社近くの飲み屋でデートしてるって言うじゃない。」
「えっ?会社近くでえ」
 強引さんも話しに乗ってきたけど、わたしが宮崎取締役とぶつかった日もひょっとしたら、二人はデートだったのかしら・・・。
「ねえ、ねえ。それでこれからどうなるの。二人は?」
「まったく、年取った新人は五月蠅いねえ。」
 と、つがれたビールをグイと一口飲み込むと、地獄耳さんは目を閉じて、
「二人の後ろ姿には秋風が吹いていま~す・・・。」
 占い師調で、声高に言うと、
「ま、大人の恋だから、下々(しもじも)がとやかく言うことでもないし。」

 さすが、大人。案外あっさりと話題が変わったの。入社10年目で新人呼ばわりされた噂好さんは少し不満げだけど、この入社20年クラスのメンバーにはいると、それ以上は聞き出せない。

 お菓子や果物を食べながら、矛先は当然のように銭木場さんに向く。
「でも、あんたの病気も困ったもんだねえ」
「危うく、古葉クンの人生、狂わすとこだったわよ」
「まったく、毎回世話が焼けるよ」 
 口々に銭木場さんをののしるんだけど、本人はもう寝たふりして返事もしない。
 なんだか、変な感じ。

「でもさあ、今日の料理、まあまあだったねえ」
「そうそう、前の時のパーティーの中華料理は酷かった」
 どういうわけか、食べ物になると話が盛り上がる。
「でも、平成生命って、凄いんですねえ。」
やや、おそるおそる、みんなのプライドをくすぐるような問いかけをしてみたの。

「そりゃあ、儲かってるんだもの。これくらい当然よう。」
「一人あたり、5万円は掛かってるねえ。」
地獄耳さんは自信ありげに言う。
 とすると、100人で500万円、200人で1,000万円・・・350人で・・・えーい、面倒。
 とにかく、凄いお金を使ってることだけは分かったんだけど、誰もそのお金の出所までは分からないみたい。まあ、当然だけど。そんなこと、関係ないし。でも偶然だけど、こんな招待旅行の費用の出所を知ることになるの。ふふっ。                                 

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生命保険物語=第18話=

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■ お持ち帰り中の「古葉クン」の危機?!

 「全くしょうがない奴だなあ」
 と宮崎取締役がこぼす時には、実は古葉クンは銭下場さんと同じ部屋にいたらしいの。だいたい保険会社の招待旅行は、同じ支部どうしのメンバーが同じ部屋に雑魚寝なんだけど、銭下場さんも品川支部の6人部屋だったの。
 他の5人が二次会場からかいた汗を流そうと温泉に行くのを確かめ、
「ねえ、古葉クン。手伝ってくれない?」
 と、どうやら自分たちの部屋に連れ込んだみたい・・・。

 何しろ、男性部隊が新目黒支社へ行ってしまうと、品川支社の契約の依存度が高まる品川支社のメイン6人のお泊まりの部屋。折角の招待旅行で気分を害されたのではこれからがやっかいと、
「任してください。銭下場さんのためなら、例え火の中水の中、喜んで。」
 と、鼻歌交じりで部屋に入ると、どうやら銭下場さんがいきなり抱きついてきたらしい。
 
 でも、銭下場さんの下心を見透かしていたかのように5人の内の強引さんと地獄耳さんの2人が部屋に戻ってみると、カギが掛かり中からは「ドタン、バタン」と音が。
「銭下場さん、開けなさい。もう、逃げられないぞ!観念して出てきなさい。」
 の声に古葉クンは危うく年齢不詳の女性の手から無事脱出できたらしい。

「何だ、古葉!おまえ口紅だらけじゃねえか。」
3次会会場となった「ラーメン屋うまか」に這々の体で辿り着いた古葉クンは、しどろもどろで、宮崎取締役の言うとおり、頬から浴衣まで口紅の後がべたべた。

 これも深夜、銭下場さんが寝息をかいている隣で聞かされたんだけど、こんなことは招待旅行では毎度のことでみんな「銭下場さんの病気」とからかっていたの。でもよく聞いていると、何年か前にはうまくいったことがあるらしい。旅行から帰ると銭下場さんのプレゼント攻勢に相手の”青年”もまんざらでもなかったらしいけど、支社内勤の特権である日、銭下場さんの履歴書を見て、その足で支社長に転勤を直訴したという。

「オイ、古葉。今夜のことは俺の胸に終まっとくから、今夜は朝までつきあえ。」
「いえ、いえ。僕は何も・・・。」
「分かってる、分かってる。さあ、みんな飲み直しだ。」

 でも、わたしも見たの。
 宮崎取締役が金満部長の「もう、食べきれないわ。」と残したラーメンを、
「瑞恵ちゃんのラーメンは味噌味か、どれどれ。」
 とばかりに、半分も残しているのをさらりと平らげてしまったの。
 金満部長を瑞恵ちゃんと呼ぶ宮崎取締役はかなり酔いが回っていて、そのときは単なる悪のり?と思ったりしていたんだけど・・・。
 地獄耳さんの話を聞いて「保険会社は人生の縮図」よう・・・という強引さんの言い方に妙に納得させられる夜になろうとは。

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生命保険物語=第17話=

=第17話=  東大クンが・・・お持ち帰り・・・されるう!

 2次会会場「シンフォニー」はまだ閑散としていたけど、さっきの宴会場からすると静かでひんやりしている。ステージから広いフロアーの先に7,8人は座れるような丸いテーブルが20個くらい並んでいる。

 会場の壁際には飲み物コーナーが。宮崎取締役がズンズン歩いていってステージの真ん前の真ん中のテーブルに”どかっ”と座ったの。その堂々としたそして少しお茶目っぽい座り方にこれまでの悶々としてた雰囲気が吹き飛んだ感じ。

 くすくす笑いながら金満部長と5人は一緒のテーブルに腰かけると、
「皆さん、何にされます?」
 見上げると、先ほどの古葉クンがウェイターみたいに立っていたの。
「オイ、古葉、ビールだ!」
 と、宮崎取締役が言うと、少しにやけた古葉クンが、
「分かりました。ビールはホットにしますか、それともコールドに・・・」
「そりゃあ、あんなもんを見せつけられた後にホットはねえだろう。」
「支社長・・・じゃあない、宮崎重役、お下品な!」
 金満部長の子供を叱るような言い方に、ようやく5人もリラックスしてきて・・・。

  本物のウェイターの人が、チーズやピーナッツなどのつまみをテーブルに運んできたころには、「シンフォニー」もどんどんテーブルが埋まり、ステージにもバンドが入りアップテンポのメロディーを流していたの。

「わかばクン、踊ろう。」
 宮崎取締役が手を差し出したのを合図にするように、セーヌセンターの他の4人にもどこから表れたのか、男性が手を差し出していたの。
「わたし・・・踊りなんてぇ・・・」
 小声で囁いている間もなくごつい手に引っ張られるようにフロアーに立ったのだけど・・・。

 バンドは、わたしでも知っているような、ゴーゴーみたいなものからモンキーダンスみたいなのが連続する内にだんだん踊り方にも慣れてきて、周囲を見渡すといつもは厳しい顔をしている品川支部のベテランセールスのおばさま達が、踊っているう・・・おかしい、ぷっ。
 もうフロアーは顔も分からないほど薄暗くなって、ステージだけがやけに明るい。もう、汗びっしょり。結構、女性もホテルの名前が染め抜かれた浴衣できているんだけどもう裾がはだけてもお構いなしの雰囲気。
 
 しばらくして、急にバンドの演奏がバラードに変わったの。もう、宮崎取締役はどこにいるかもわからないままにきょとんとしていると、目の前にいた男性が、
「お願いします。」
 と、頭をぴょこんと下げてきたの。
 わたし、ステップも何もわからないまま見よう見まねで手を相手の腰に回し、その場に会わせたのだけど、薄暗い中で見てしまったの。
 古葉クンが、品川支部のいつも成績が良くて支社の3位から落ちたことがない銭下場さんにしっかりと抱きしめられているのを。あれはどうみても古葉クンは離れたがってるようにしか見えない。それを「離すものか」とばかりに太い二の腕でがっちり掴んでいる・・・。
 そして、もう一組のカップル・・・宮崎取締役と金満部長!暗いからよく見えないんだけど金満部長、宮崎取締役の胸に顔を押しつけているように見えるんだけど・・・。

 二次会が終わり、三次会のホテルの中にある「ラーメン屋うまか」にわたし達は流れ込んだんだけど、宮崎取締役の、
「古葉、古葉」
と、探し始めたことから、事態は思わぬ方向へ進展し、まさかこんなことが起きるんだあ・・・と絶句! 

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生命保険物語=第16話=

=第16話=  花魁が・・・若井支部長がライトを持って・・・もう信じられない光景が

 宴会場が薄暗くなったと思ったら、三味線の音が大音響で響き始め、舞台の左右から2人の花魁がそのシャミの音に合わせて踊り始めたの。セーヌセンターの5人は何が始まったのか・・・すぐには飲み込めず、わたしの隣の摩季ちゃんは「わああ、素敵!踊りよ!」などとはしゃいでいたけど・・・すぐにそうではないことに気付いたらしく、俯いてしまった。

 宮崎取締役が席を外すと、若井支部長とその一団は脱兎のごとく舞台に駆け寄り「ライト、ライトを寄こせ」という若井支部長の怒声とも言える声が聞こえてきたの。日頃のおとなしさとはとても想像できない怒声・・・。
 100名近くの男性だけが舞台に駆け寄ったのかと思っていると、中には女性の姿もあるの。もう、信じらんない・・・!なんてことはない、350名の大宴会で「ストリップショー」が始まったの。どうやら一段と高くなる嬌声は、1枚ずつ着ているものを脱ぐたびに起きているみたい・・・。

 薄暗い宴会場を見渡すと、結構空席が目立つんだけど、どうやらこれを察してか女性の入賞者は宴会場から出て行ったみたいだけど、初めてのわたしたちは、どうしていいか分からない。
「さあ、みなさんお部屋に行きましょう。」
金満部長が、5人に合図をするかのように声を掛けると、出口へ向かったのだけど、
「部長さん、二次会もありますから・・・」
と、支社内勤の古葉クンが声を掛けたの。
金満部長はそれを無視するように、きれいに並べられたスリッパを穿こうとした時、トイレにでも行っていたのか宴会場に入る宮崎取締役と鉢合わせをしたの。

「部長、2次会へ行こうか?」
「全くもう、浜田支社長の病気は治らないんだから・・・」
「まあ、まあ、まあ。これが最後だから、機嫌を直して・・・」

 かくして、わたしたち5人と一緒にホテルのクラブと称する「シンフォニー」に行くんだけど、とても「シンフォニー」というより、今で言う「カラオケ屋」みたいな2次会へ行ったんだけど・・・またしても、凄い光景を目にしてしまうことになろうとは!

 その夜は遅くまで、強引さんたちとおしゃべりしていたんだけど、浜田支社長になってからあの「ストリップショー」は招待旅行の目玉になっていて、毎回繰り返されているというの。どうやら、あの男性100名で品川支社の半分以上の契約を挙げるため、浜田支社長も、「頑張れよ!ダメな奴は目の保養も出来ないぞ!」と、ハッパを掛けてきたことが、止められない原因らしい。そもそも、女性が多い保険会社では、「ストリップショー」などはタブーと思われがちだったけど、浜田支社長は大学の同期がある外資系生保に入社し、その好調の影に「招待旅行の効果」があることを耳にして、どうやらそれを参考にしたらしいの。
 もちろん、今でもそうだけど当時の外資系生保のセールスはほとんど男性。365日が仕事だああ!とハッパを掛けて一定基準をやり挙げた男性を旅行招待するんだけど、文字通りほぼ貸し切ったホテルは無礼講の一夜で、若い仲居さんや派遣されたコンパニオンに身の危険が及びかなねいほど、狂乱の宴を繰り広げたというの。
 もちろん中にはトラブルもあったらしいけど、最後は金で決着、ということもあり、始めは「お得意様」だった保険会社一行様も、「出入り禁止」とされ、徐々に保険会社側も招待旅行の中身に品位を考えるようになった、という。

 それでも、浜田支社長としては、どんどん業績が良くなる男性部隊の魅力には勝てず、これまで毎回「羽目を外さない」ことに気を配りながら、「ストリップショー」を取り込んで着たという。でも、「目黒支社との分割」という成果を得たわけで、これは浜田支社長としては自分の出世のための大きな得点になるというの。

 でも、二次会では・・・ベテラン女性セールスの凄い光景を目の当たりにすることになって・・・わたし・・・どうしたらよいものか・・・。そして、金満部長の秘密もこの夜知ることになるの。  

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生命保険物語=第15話=

=第15話=  これが「生命保険会社の招待旅行」?!

 350名もの大宴会となると、乾杯が終わるともう会場は戦乱の地みたいに人が入り乱れて大騒動。25人くらいの席が差し向かいで1列50人くらい舞台から7列も並んでいる。セーヌセンターから入賞した5人は金満部長と並んで2列目の舞台寄りにいたんだけど、中央の2列には100人くらいなんだけど若い男性ばかりが座っていた。少し異様。

 実は、宮崎支社長が品川支社に赴任してきた時は、男性は300人のうちの20数人しかいなかったらしいの。ところが支社長の号令で男性を中心に採用し始めて今では200名にもなり、そのほとんどが今度新設される目黒支社へ転属するという。今日の招待旅行は、品川支社での旅行招待の最後だという。

 しばらくすると嬌声やら怒声やらもううるさいったらありゃしないけど、その男性の中の誰かが「無礼講」と叫ぶと同時に一段と声高になるみたい。その内、ビール瓶やとっくりをもった男性が会場内をうろつき始めたの。わたしたちは小声で隣りどうしでお膳の料理を食べていたんだけど、もう声がかき消されてビールの酔いも手伝って30分もたった頃は結構大声で話していたの。

 「わかばさん、おめでとうございます。」
 と後ろからビールをもつ手が伸びてき、見ると若井支部長で、どうやらその男性部隊の出身らしい。とぎれとぎれに聞こえる話は、宮崎支社長のおかげで営業マンから支部を任される支部長に抜擢されたらしい。話をする最中にも「若井支部長さん、どうぞ」と後ろの男性が入れ替わり立ち替わりビールを注ぎに来る。中には、わたしやセーヌセンターのメンバーにも注ごうとする”輩”もいるの。

 その内、若井支部長を数人が囲んで「頂きます!」とか「感謝しています!」とか「今、僕があるのは若井支部長のおかげです!」などと、体育会系の雰囲気。これが”招待旅行”と、戸惑っていると、目の前に人御輿の宮崎取締役がビールを片手にあぐらをかいてきたの。それに気付いた若井支部長ははだけた浴衣を揃え、正座をしてうやうやしくお酌をしたの。
「おい、若井、調子良いようじゃないか。」
「いえいえ、まだまだです。」
「しかし、おまえも偉くなったなあ。俺に酌をさせに来るんだから」
 若井支部長の酔いがサッと覚めたように俯いている。輪を作っていた数人の男性も若井支部長に習い向きを宮崎取締役にむき直り、緊張気味の様子。
 後で強引さんに聞いたんだけど、どうやらセーヌセンターのメンバーのところ、特にわたしのところに若井支部長が来て話をしていることが、金満部長の気にさわったらしい。金満部長に耳打ちされた宮崎取締役がその後やってきたという。

「わかばさん?かね。久しぶりだねえ。」
エッエー、あの夜のぶつかったこと覚えていたのかしら。
「頑張ってるねえ。部長が偉い褒めてたよ。」
「い、いエッ、あのときは失礼しました。」
 もちろん、周囲はきょとんとしている。なぜわたしが宮崎取締役を知っているのか。

 そんなとき、急に宴会場が薄暗くなったの。
 司会がマイクを取って、
 「さあ、今日は品川支社最後の旅行です。そこで皆さんに特に目黒支社に行かれる将来の平成生命を背負ってたつ男性諸君に目の保養をしていただきます。あっ、もちろん女性の方も大歓迎で~す」

 そっ、そんな馬鹿な!わたしも酔ってはいたけどそれから繰り広げられた舞台の出来事は・・・。和服を着た女性が2人スポットライトを浴びながら左右の部隊の端から登場したの。まさか・・・。

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生命保険物語=第14話=

=第14話=  初めての「招待旅行」で、わ・た・し、は見た!

 生命保険会社に「招待旅行」があることは、強引さんから聞いたことはあったけど、それにわたしも参加するなんて。もちろん、招待されるまでにはそりゃあいろいろな苦労・・・というより策略があったんだけど。
 とにかく、その「招待状」が渡されたのが旅行に行く1週間前。もっとも、セーヌセンターの壁に大きく貼られたグラフで誰が招待旅行に入賞したかはすぐに分かるんだけど、やはり「入賞おめでとうございます」と毛筆で書かれた「招待状」を手にして、「ああ、本当に行けるんだあ」と実感が沸いたの。
 

 でも、でも初めての招待旅行でわたしが見たものは・・・。
 淡々と表彰式が進み、わたしも新人の部で品川支社第3位に入り、みんなの前で表彰されたの。あの金満部長が怒った夜以来の支社長さんなんどけど、人が変わったみたいに堂々としてて、何かあの夜とは別人みたいだった・・・。でも賞品を渡されたとき「おめでとう」と言って視線が合ったときやさしく微笑んでくれたように思ったの。

 セレモニーが終わり、「ホテル日光一番」の大広間に総勢350人の大宴会が始まったの。みんなが揃った頃に突然、「ヨッショ、ワッショ!」というかけ声と囃子太鼓の音が流れると、あの太鼓持支部長が大団扇を振りながら人御輿が入ってきて・・・先頭に若井支部長・・・そして3人の組み手の上に乗ってるのは、間違いなくあの夜わたしとぶつかった鬼瓦みたいな平成生命のひと・・・だったの。

 宴会場の後ろから左右に揺れながら真ん中を割り、人御輿は舞台に辿り着くとその鬼瓦のひとは支社長に手をさしのべられながら降りたのだけど・・・その人が2代前の品川支社の支社長さんで今は偉くなって本社の役員だと言うことを知るのに時間は掛からなかった。だから、人御輿が入ってきて乗ってる鬼瓦のひとにみんなが気付くとどよめきが起き手拍子が始まったのね。

 鬼瓦のひと・・・宮崎不動取締役がホントの名前なんだけど、300人くらいだった品川支社を4年で倍の600人にし、次の支社長がさらに増やして800人にまで伸ばし、今年の春には、品川支社550名と隣の700名いた渋谷支社から200名を合流させて「目黒支社」を450名で新設した・・・その基礎を築いたのが宮崎取締役だったのだけど、その顔の怖さとは裏腹にもう5年も経つのに品川支社のベテランセールスの中には宮崎ファンが多い、という。

 そのファンの一人が金満部長だと言うことを、宴会の後の2次会で強引さんから聞いたのだけど・・・かなり訳ありの言い方をしていた・・・その”訳あり”の中味は6人の同じ部屋だった品川支部のトップセールス地獄耳さんから聞かされることに。

 でも、その”訳あり”のことよりも、わたしがわたしの人生でおそらく初めてでまた最後というような驚愕の舞台をこの目で見たのに比べると・・・もう20年以上も経った今でもその光景は目に焼きついて離れない。

 

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生命保険物語=第13話=

=第13話=  鬼面人事部長、現る!

 気まずい雰囲気から逃げ出すように、わたしは立った。
「済みません。わたし、子供のことがありますので。」
 最近は実家の母が子供の面倒を見てくれる。少々遅くなることは大丈夫だけど、こういう時の口実には子供をだしに使うのが無難。
「わかばさん、遅くまでごめんなさいね。」
 金満部長の声が飛んできた。気まずい雰囲気に変わりはないが、とってつけたように太鼓持支部長が立ち上がると、部屋の入り口まで来て、
「気を付けて帰ってね。明日からも頑張ろうね。」
 と、すかさず手を差し出してきた。腫れ物にさわるような態度だが、これが年輩の女性セールスには”受けが良いのよ”といつか強引さんが教えてくれたことがある。気遣い、なのだろうが、軽く握手したその手は妙にごつごつしていて力強さは感じられなかった。

 実は、わたしを平成生命に誘った強引さんの所属支部はこの太鼓持支部長の品川支部。となると、わたしもその支部の所属。つまり、わたしの契約はイコール太鼓持支部長の品川支部の挙績にも同時に反映される仕組みだったの。わたしが入社のころ、太鼓持支部長の姿はなかったのだけど、体を壊して入院していて、金満部長はその代役をやっていたの。
 だから、太鼓持支部長とは面と向かって話をしたこともないし、親近感は殆どなかった。でも何もしなくとも契約を挙げるセーヌセンターのわたしの存在は支部経営にすれば、棚からぼた餅ということになる。
 
 少し早足でお店を出ようとしたときカウンターのお客が立ち上がり、ぶつかりそうになった。
「済みません。」
 と、軽く会釈をして顔を上げると、ちょうど襟が目の前にあった。そこには、平成生命のさくらの花をかたどった胸章が目に入った。
 思わず、上目遣いに顔を見ると、鬼瓦みたいな大男が顔をくしゃくしゃにして立っていた。もちろん、その大男が平成生命の「人切り鬼瓦人事部長」だと言うことなどその時は知らなかった。
「大丈夫ですか?」

 なぜ、支社長があの場で黙り込んだのか、また職格を抜きにしても金満部長に周囲が気を使うのか、その時のわたしに分かろうはずがなかったけど、その影にこの鬼瓦人事部長がいたことを知ったのは、12月半ばに招待された奥日光の一流ホテルで行われた祝宴の時だったの。

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生命保険物語=第12話=

=第12話=  金満部長、怒る!

 少し鼻高になりかけたのを見透かされたかのように、
「まあ、無理強いは出来ないが、契約第1号のお祝いを1杯。」
 と言うと、支社長さんが強引にわたしの隣に座り込んできたの。こんなことは初めてで戸惑っていると、
「ささっ、わかばさん、支社長にお酌を。」
 一緒にきた白髪交じりの太鼓持支部長がわたしの前にとっくりを差し出す。

 でも、何か変。わたしの第1号契約の祝杯と言いながら、支社長へのお酌を私がする、これって!でも、その場の雰囲気でそのとっくりに手を伸ばした途端、

「支社長、逆でしょう。」
 なんと声の主は金満部長だった。
「アッ、いやァ、今そう言おうと思ってたとこだよ。」
 苦笑いをしながら、支社長はとっくりに手を伸ばすと、
「さあ、おめでとう。これからも頑張れよ。」
 うーん、こういうの、本当に困る。

 場を取りなすように、若井支部長が、
「でも、セーヌセンターのおかげで今月もどうにか目標を達成出来ましたよ。さすが金満部長」 と、お酒を注ごうとする。
「ところで、若井支部長、100%達成は良いけど、あれから”オチ”はないの?」
 どうも、金満部長絡み酒みたい。
「い、いやあ、そう言われると・・・。」
 キッ、とした視線を桜田支社長さんへ金満部長が向けたの。
「支社長、うちが達成率92%で今日の会議では怒られたけど、でも、今日は100%でも”成立”でうちより悪い支部が出てきたらどうします?」
 もう、雰囲気はすっかりダメ。会議の延長戦だけど、よほど金満部長、腹に据えかねていることがあるらしい。
「まあ、まあ、会議は会議。部長さんも機嫌を直して。」
 太鼓持支部長が、間を取りなしたつもりが、逆に金満部長に火を付ける結果に。
「そりゃあ、太鼓持支部長さんは良いですよ。あれだけの優秀な職員さんを抱えて、スタートからゴールまで毎月独走ですものね。」
 言葉に窮したように太鼓持支部長がうつむき加減に黙り込む。
 横にいる支社長を見ると、これも何か反論する風でもない。
 変な雰囲気。    

 普通の会社なら、支社長が一番偉いはず。その人が気まずそうに黙りこくる。一体、どうなってるの。酔いの少し回った頭で考え始めたけど、とても納得いく答えは見つけられそうにもなかった・・・。ただ、金満部長が支社長に対して何となく頼もしい存在に思えたのは新発見だったけど。そこから先がまったくみえないの。

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生命保険物語=第11話=

=第11話=  仕方がない、有り難うございます。

 日頃はワインが似合う金満部長も小料理屋の座敷ともなると日本酒が似合う。ほのかに赤らんだ頬に潤んだような目つきが妙に色っぽい。
「ここのお店ね、うちの会社の人、結構来るのよ。」
 前回の支社会議の後もここで支社長と数人の支部長たちとお酒を飲んだという。でも、立場上たしなむという姿勢を崩せないので、わたしと飲む方が気が休まるとぐいっとお酒のグラスを傾ける。

「で、わかばさんのお話とは?」
「えっ、えー。実は今回の契約第1号の件ですけど。」
「本当に良かったわ。あの契約で会議では体面が保てたし、本当に嬉しかった。」
「そ、その契約、部長さんが自宅まで行って頂いたとか・・・。」
 この先が決まらない。余計なことをしたと文句を言いたいのか、でも会議であの3,000万円が役に立ったと言われると素直に喜びたい気もするし・・・。
「あー、あのこと。余計なことをと思われたかも知れないけど、私も必死だったの。それでつい電話してみたら夜ならお話を聞いてもよいと言われ、まあ、わかばさんの代役と言うことで・・・。」
 うーん、こういわれると返す言葉もない。
「有り難うございました。こんなにすんなりと契約が決まるとはどうしても信じられなかったんですが。」

 「でもね、ここが私の悪いところ。つい、手を出してしまうのよね。人を育てるには時間と忍耐が必要なんだけど、それが出来ない。」
いたずらっぽく、にやりと笑う。
 少し酔いが回ったせいか、もう金満部長がわたしに内緒で夜契約者宅を訪問したことなどどうでもよくなった。そもそも、いくら「余計なこと」と言ったところで、では自分一人で契約が取れたかとなるとほとんど絶望的。でも心底「有り難うございます」と言えたかとなると、わたしの自尊心が・・・。

 急にお店の中が騒々しくなった。女将さんが小声で金満部長に囁く。
「やっぱり、ここかあ。部長、いいかな。」
 どやどやと入ってきたのは浜田品川支社長以下5人の男性支部長に支社の内勤職2人。
 どうも、わたしは場違い。部長に目配せして立ち上がろうとすると、
「わかばさん、おめでとう。君のような新人さんがドンドン入社してくれるといいんだが。」
 3,000万円効果、とでも言うのかしら。支社長さんまで知っている。わたしは注目されてる。気分は悪くない・・・でもこの後、金満部長が急に怒り出すとは・・・!

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生命保険物語=第7話=

=第7話= こうやって口説かれた! わたしが絶対必要!  

 おもむろに腰を少し浮かせた姿勢で金満部長はわたしの手を取り、強く握りしめてきたの。
「わかばさん、一緒に頑張りましょう。」
 何となく金満部長の目は、潤んでいるようにも見える。

 生命保険の増員は、相手により「口説き方」を上手く使い分けるのは常道。このときのわたしがその対象だなんてそのときは知る由もなかったの。必死で自分のこれからの仕事をやるのに「あなたが必要!」と説得する金満部長にウソはないと信じ切っていたし、そう期待される自分に心地よかった。

 実は、生命保険会社の現場の仕事は大きく2つあるの。一つは営業成績、そしてもう一つがセールスをやる人を集める、いわゆる「増員」。俗に「新人採用」などと保険会社は最近は呼ぶようになっているけど、増員ができない機関長(保険会社によって呼び方は違うけど「支部」とか「事務所」とかの責任者)は、本社からも評価されないの。そればかりか増員ができない機関長は、いろいろなプレッシャーが掛けられるから、まあ必至になるのね。でも、逆に言えば「増員」ができる機関長は評価が高く、出世も早いのが普通。ところが、そう簡単に「増員」ができないから、生命保険会社の機関長は鵜の目鷹の目で「保険会社で働く人」を探すんだけど、これがままならない。

 ところで生命保険の営業というと女性がターゲット。その説得は大きく2つに分けられる。自分で決断できないタイプとできるタイプ。前者は仕事ができる環境作りを丁寧に説明していくだけで、例えば子供の問題なら働ける時間をスケジュール表を作成して教える。ご主人の反対なら同じ環境からスタートして今成功している体験談を聞かせ、スロースタートさせる。のっけからご主人を納得させようなんて時間の無駄。形から入ろうとしても失敗する。女性は、仕事をしながら家事をこなし、夫や子供の”子守”も同時にできる生まれながらの才覚があるのよ。
 もう一つの後者は将来のビジョンで口説く。来年は、3年後は、5年後はという「実現できる可能性」を描かせることで、目の前の障害は自力でクリアーしていくキャリアタイプ。まさしく当時のわたしはこれ。ただ、物事の同時進行は得てして苦手。多くの女性はそうだと思うけど。

 実は、平成生命では「完全固定給の営業職員育成機関」のプロジェクト計画が金満部長を責任者として密かに進行中で、その「第1期生」にわたしを抜擢したい。3年後は「所長」さらに5年後は20名から30名の部下を管理する「支部長」、そして業績次第では金満部長と同じ「営業部長」への道が開かれている・・・。
 「第1期生」と言えば、聞こえは良いがその適材は極めて少ない。入社1年未満の中からも抜擢するが、できたらこれを目標として入社する人材としてわたしに白羽の矢を当てた、と熱く語る金満部長の目線はわたしを睨みつけるように話さないの。でも、その時は雲を掴むような話。

 まさにヘッドハンティングされる側の心境だったけど、でもこのときのわたし本音を言うと「固定給15万円」にもうメロメロだったの。もっともこのとき、金満部長が最初の責任者になるカラクリなんてぜんぜん知らなかった・・・。  

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生命保険物語=第6話=

=第6話= こうやって口説かれた! 出来るかも知れない?!

 39階からのパノラマは、もう見ているだけで爽快。そーと深く息を吸う。同じ空気なんだけど生活臭のある我が家の空気とはぜんぜん質が違う。日本を動かす最先端にいるようなそんな錯覚に陥ってしまいそう。

「わかばさん、私いくつに見える?」
 おもむろに金満部長から出た言葉に、戸惑いと実際の年齢をいくつだろうと探しあぐねていると、
「まあ、確かに他の同年齢の女性よりは若く見える自信はあるけど、残念ながら毎年年齢は1歳ずつ増えていくのよね。」
 妙にしんみりした雰囲気に追い打ちを掛けるように、
「実はね、私55歳なの。」
 その55歳が何を意味するのか図りかねていると、
「平成生命では営業部長職は56歳が社内定年で、そこから本当の定年の60歳までは補助的な業務に配置換えさせられるのが暗黙のルールなの。」 
藪から棒にわたしには関係ない話しが切り出され、
「せいぜい私に残された時間は1年しかないの。自慢じゃないけどこれまで多くの営業員さんを育ててきた自負はあるの。でもね、女性がこれだけ進出している生保業界で女性の管理職を育てる努力は後回しにしてきちゃったのよね。」
 そして、昨日の「さくらスクール」の話しにはウソがあるという。
「実は私、離婚しているの。」
 もう、ここまで来ると何がなんだか分からなくなる。
 なぜ?なぜ?なぜ?
 
 たった2回しか会ったことのないわたしに、しかも昨日の今日。一体何を言おうとしているのか皆目見当もつかない。でも、妙に金満部長の話に引きずり込まれていくわたし。他人のプライバシーを覗きみたい野次馬心理もないとは言わないけど、その真剣な眼差しにわたしの心がすーと吸い込まれていくのが分かる。
 このときのことは20年以上経った今でもついこの前のように鮮明に覚えている。わずか2時間ですっかり金満部長の虜になったわたし。果たしてわたし一人を「増員」する目的の虚飾に飾られた演出だったのかあるいは本気で女性の管理職養成構想を考えていたのか、昨年ガンで亡くなった金満部長の口からついぞ聞くことはなかったけど。

 でもその真意がどこにあったとしても、今のわたしがあるのは金満部長との出会いがあったからで、もうここまで来たらどちらでもよいことで、一つ一つの人生の節目を演出されたかどうかを詮索することなど長い人生からすると殆ど無意味なのね。

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生命保険物語=第5話=+かわら版

=第5話= こうやって口説かれた、コーヒーの薫り!
 
「あらあ、わかばさん、お待ちしていましたわ。」
 金満部長が席を立って両手でわたしの手を強く握ってきた。
 握手なんて、主婦のわたしにはすごく新鮮で、妙に親しみを感じる。
 昨日は離れていたから気がつかなかったけどほのかにシャネル系の香りもする。
「実は、どうしてもあなたにはゆっくりお話がしたくて、無理をお願いしちゃったの。気を悪くしないでね。」 昨日の自信に満ちた近寄りがたい雰囲気とは一転して、妙に親しげにしかもやけに馴れ馴れしい。

「ここではなんだから、おいしいコーヒーでも飲みに行きましょう。」
 もう、すっかり金満部長の友達づきあいペース。しかもわたしが考え込むほどの余裕もないほど流れに淀みがない。
 平成生命ビルの1階に喫茶店があるのにそこには目もくれないでタクシーを止めた。
「品川のプライムホテルまで。」
 どうしてそんな高級ホテルにわざわざコーヒーを飲みに行くの?
 と訝るわたしなどにお構いなしに、一緒に強引さんもタクシーの前の席に乗りこんできた。その時のわたしはその馴れ馴れしさになんの疑問を抱くはずもなく、2時間後にはプライムホテルのラウンジで甘い夢を描くことになる・・・。

 39階の最上階にあるラウンジ・バーにはまだ午前中だというのに、ビジネスマンや恰幅の良い男性、それに外国人たちがピーンと張りつめた空気を醸しだし、殆ど満席。金満部長の姿を目にした蝶ネクタイの支配人とおぼしき男性が「お待ちしていました。こちらです。」と案内をする。予約を入れていたことは容易に想像できたが、実に場慣れしている金満部長の後ろ姿はわたしにはとてもまぶしい。

 やや奥まったグランドピアノを取り巻くボックス席に着くと、
「わかばさん、ここのコーヒーとケーキ、それにバームクーヘンおいしいのよ。それでいいかしら?」
「えっ?、えー」
 もう良いも悪いもない。すっかり金満部長ペースで、首を縦に振るしかない借りてきたネコ。
「それではいつものセット3つ。」
 コーヒー飲むのにこんなに丁寧な応対をされたことなどない。そもそも朝から超高層ビルでコーヒーやケーキなんて。体がすっぽり埋まるソファも痩身のわたしには落ち着かない。
 でも、この一流ホテルのコーヒーがわたしを安サラリーで汲々とする貧乏主婦から一転、見ず知らずの世界へ飛び出させるための演出だったとは。ずいぶん後で知ることになるんです。

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生命保険物語=第4話=

=第4話= こうやって口説かれた、選ばれたわ・た・し!

 翌日朝10時、強引さんが飛び込んできたの。
「わかばさん、大変!」
 息堰きった姿に何事か、と飛び出すと、
「今日、これから時間取れない?」
 言ってる意味が飲み込めないわたしに、勝手に説明を始めたの。
 昨日「プレ・さくらスクール」が終わってから、金満部長が是非わたしとゆっくりお話がしたい、と言われ、それでこうして朝礼もそこそこにすっ飛んできたと言う。強引さん、曰く、とにかく金満部長がわたしを一目惚れしたらしい。そしてそんなことはまずないことで、凄い光栄なことらしい。

 そりゃ、そうでしょう。出席した中ではひときわ引き立っていたはず。年齢もそうだけど、スタイルからまあ目鼻立ちくっきり系だから顔立ちだって悪くない。あのメンバーなら間違いなく目立ったはず。化粧の乗りも久しぶりにしては悪くなかった。1点気になったのはルージュ。家計を考えるとどうしても好きなカラーは高額過ぎて手がでない。今でこそ少し地味にイエローゴールドのリップスティックをスーツを着るような時は愛用してるけど、結婚するまではピンクゴールドくらいは付けていた。でも結婚してからはシャイに付けても行くところがないから、まあ、いいかと買うチャンスもなかったのよねえ。
 まんざらでもないわたしの心を見透かすように強引さんが甘えるような声で迫る。
「ねえ、これから一緒に行ってくれない?」

 でもこういうのって、結構気分悪くないものなのよね。女って「あなただけ特別」という言葉に弱いの。それに無下に断れない理由があったの。昨日、2,500円の封筒の中には1,000円余計に入っていたの。なんでも交通費らしい。実際は強引さんの車で送り迎えしてもらったのでわたしは本当は貰えないのだけど、強引さんは「いいの、いいの。」と言って受け取ろうとしない。

 でもそのおかげで、健太の靴はグレードアップしたから、もう喜ぶこと喜ぶこと。その喜びように帰宅した主人も前夜とは打って変わって一言も平成生命のことには触れない。
 もちろん「日当」(にっとう)と書かれた封筒は捨てきれずにバッグに入れたまま。心地よい余韻が残っていたその直後の朝だから、わたしのガードは何もできていなかったし、だから、
「少しなら・・・」
 と、つい。
 強引さん、もう待ってました、とばかりに準備を指示し始めて、昨日と同じことを繰り返すことに。でも言いようのない優越感が漂ってたの。わ・た・し、あの金満部長に選ばれたのよね。きっと。うふっ。 
 
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生命保険物語=第3話=

=第3話= ボーナスが主人の年収と同じ人たち・・・私の知らなかった世界が!

 駅前の平成生命の一室で始まった「プレ・さくらスクール」。チラシの「10時30分開催」に座っていたのはわたしを含めて3人。10分ほど過ぎた頃、子供の泣き声が聞こえバタバタと2,3人が駆け込んできた。ようやく司会者が悪びれる様子もなくその「プレ・さくらスクール」は始まったの。
 見渡すとスーツ姿はわたし一人。最後に駆け込んできた一人など凄い厚化粧でスカートはかなりのミニ。それにわたしが一番近いせいか香水がきつい。一番前に座っているわたしの母親くらいの年齢の人、すごい生活感がにじみ出ている。どう見ても生活は苦しそう。もちろんわたしも他人のこと言えるような状況じゃないけど、いざとなれば昔取った杵柄で、子供の靴一足に苦悩しているとは思われないくらいのキャリアウーマンの真似事くらいはできる。あーあ、何か来る場所を間違った感じ・・・。

 でも1日だけの2,500円のための、じっと我慢の2時間。そして、ひょっとするとその先には、1日3,000円の弁当付き”日当”の「さくらスクール」が待っている!
 「プレ・さくらスクール」は、まずビデオが流されている。平成生命がいかに素晴らしい保険会社かが延々と続いている。

 「平成生命は戦後から現在の昭和60年代に至るまで多くの契約者の方に支えられ、生命保険業界でも常にトップスリーの座にあり、日本の保険業界をリードしてきました。その輝かしい業績の一翼をこれからも担っていただける新しい人材を広く求めています。」

 そして、強引さんから貰ったパンフレットに大書きされていた「月収20万円!あなたの人生を変えませんか?」「あなたの手で夢のマイホームを!」「平成生命は女性に優しい生命保険会社です。やる気次第で管理職コースも用意!」などのキャッチコピーが画面一杯に広がる・・・でもねえ、少しあのパンフレットの”20万円”にはかすかに心穏やかならぬところがあったけど、しかしこのメンバーを見渡すととてもそんなことが現実になるとは思えない。わたしと同じ「2,500円狙い」にしか見えない・・・。

 「さあ、皆さん、いかがでしたか?平成生命は今や日本の『日友生命・住一生命』とともにビッグスリー生命保険会社の中の1社です。世界の金融機関も注目している超一流企業です。これからの皆さんの人生をバラ色に変えられる生命保険会社なのです。」うん、うん、と言ってることは頷けるものの、会場に来ている人たちとのギャップはどうしても埋まらない。

 「実はこの支社には皆さんと同じ立場でお仕事を始め、その夢を実現した方がいらっしゃいます。営業部長の金満営業部長です。紹介させて頂きます。」
 と言うと、後ろで立っていた強引さんたちが一斉に拍手。会場の盛り上げ役だ。さくらスクールだから、さ・く・ら・・・なんてふっと一人で吹き出していると、

 「私が営業部長の金満満子です。皆さん、良くいらっしゃいました。今日は皆さんの人生が大きく変わるまさに記念すべき1日です。」
 シルクのスーツに身につけている宝飾品は、出席している我々とは別世界に見えたの。同じ女性として嫉妬心が起きないと言えばウソだけど、比較すること自体がおかしいくらいその落差は比べものにならない。淡々とそれでいて少しオーバーアクションな入社から現在に至るまでの話しを30分ほどすると、おもむろにハンドバッグから紙切れを出したの。 「これ、実はついこの間もらった夏のボーナスの明細です。総支給額が250万円くらい。当社のパンフレットには毎月20万円をあなたの手で、とあるけど頑張ればこういうことも可能な平成生命なんです。そのチャンスが今皆さんの目の前にあるんです。」
  
 「すごいわねえ~」とこれ見よがしに聞こえる強引さんたち”さくらグループ”のどよめきが起きるも、参加者の反応は鈍い。分別をわきまえているというか既にあきらめの人生が分かっているのか・・・。でも、主人の1年間の給料を1回のボーナスで稼いでしまう、その自信溢れる姿にあこがれと言うより言い表せない悔しさを感じながら「ひょつとしたらわたしも・・・」とつい心の奥でキラリと光るものが・・・。だって金満営業部長とわたしの境遇似ていたんですもの。

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生命保険物語=第2話=

生命保険物語=第1話=

=第1話= 毎日子育てしながら3,000円!

 わたし、子育て中に「増員」(生保用語で生命保険募集する人を捜すこと)されたんですけど、小学生1年生と幼稚園児とを抱えての職探しなんてバブルの最中でもなかなかなかったんです。
 うちの主人の生命保険をかなり強引に契約していった保険のおばちゃん、名前もそのままの”強引さん”が、「わかばさん、子育てをしながら少し小遣い稼ぎをしてみない~」と言われたのが生保業界に入るきっかけだったの。

☆ 「プレ・さくらスクール」前夜 ☆

 「明日、朝の10時には迎えに来るからね。必ず準備して待っててね。」と言い残し、2人の子供へのお土産とお菓子を強引さんは”強引”に置いていったから、さあ、大変。
 何でも明日から「さくらスクール」のプレ・スクールがあるからそれにぜひ出席して、というお誘い。なにしろ生命保険に加入するとき、我が家の厳しい家計を知られているから、「行くだけで2,500円」という囁きには、断る口実を見つけようとするよりも、2,500円の使い道を考える誘惑が断然優位に立っていたの。
 「とにかく、明日行きさえすれば2,500円が貰える。帰りに健太(長男)のシューズが買える。」という目の前の現実が明日行くことを決心させていたの。
 
 わたし、ブランドもので身を固めている今、当時を思うと何ともほほえましい限りだけど、でも伸び盛りの健太の靴の右足の側面がほつれていることが分かっててもすぐには買ってあげられないほど我が家の家計は苦しかったの。買ってあげられない変わりに「来月はきっと買ってあげるからね。」と両手でほつれたところをぐっと握りしめるんだけど、魔法が掛かるわけでもなく、糸がほつれたところは、そのまま。子供の靴一足もままならない不甲斐なさに思わず悔し涙が落ちた夜もあったけど・・・。

 でも、明日は「プレ・さくらスクール」へ行きさえすれば、とにかく健太の靴が買える。ところが、一杯機嫌で帰ってきた主人にそのことがばれて、「さくらスクール前夜」は、暴風雨が急襲することになろうとは・・・。  

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2005年12月28日 (水)

生命保険物語

=第0話= いよいよプログで『生命保険物語』スタート!

★ わたし、現在某生命保険会社勤務の年齢からすると、もうオバサマ(?)の「わかば みほ」です。でも、見た目は一回りは若く見られ、タイトでもフレアーなファッションでもまだ大丈夫と本人はいたって自信を持っているのですが・・・。
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● 実は、最初「保険評論家・大地一成さんのHP『生・損保の真実』」の『会議室』の片隅をお借りして、今回の「生命保険物語」の原版「生保物語」は始まりました。しかし、段ボールほぼ1箱のノートの山の中から”物語”をまとめていく作業は困難をきわめ、監修をお願いした、大地さんもほとほと手を焼いたらしくスタートから現在に至るまで物語は遅々として進まず、まだよちよち歩きの状態です。

● そこで、一念発起して、「プログ」を立ち上げ、物語のスムーズな展開を図ることに致しました。とはいえ、過去も現在もそして将来もかなりナーバスな業界ですので、私の思うがままを記載することで、どのようなトラブルやまたご迷惑をおかけするやも知れません。     そのため、「監修」を引き続き「保険評論家 大地一成さん」にお願いすることとし、さらに内容を一部手直しすることに致しました。もちろん、監修については、大地さんから”快諾”(と、私は理解しています・・・。)を頂戴しておりますので、スムーズな展開ができるものと信じております。

● ここ20年以上に渡るわたしの激動の体験がこの「生命保険物語」のスタート台で、出来るだけ事実に基づいて記録しておきたい希望からこのような掲載方法に至りましたが、内容によってはいろいろな物議を引き起こすリスクもあるため、この「生命保険物語」は、「フィクション」という設定です。

 それと、最近の問題もできるだけ掲載したいのですが、それにより私の勤務する生命保険会社が特定されるのも本意ではないため、できるだけ記載するにしても客観的なコメントになることをご承知置き下さい。

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■ なお、私への直接のメール等は一切受け付けておりませんので、ご意見あるいは激励(これが、ホントは一番嬉しいですが・・・。)などがありましたら、下記「大地さんのメール」宛、お願い致します。

i.daichi@nifty.com

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■ 保険評論家 大地 一成も推奨します!

 もう、わかばさんとは何年のおつきあいになるでしょうか。とにかく気さくな方です。雰囲気からはホテルのラウンジでカクテルという非常に洗練されたファッションセンスをお持ちなのですが、私と食事(?)の場合は、街中の居酒屋の片隅でもスムーズに溶け込むまさに変幻自在な年齢不詳の方です。

 大量のノートに綴られた内容は、公表することを憚れるものもありますし、またそれが目的で監修を引き受けたものでもありません。バブル以前・バブル・そして現在に至る生命保険業界の動きを内部から直視した「わかば みほさんの過去日記」と称してよいものだと思います。

 できるだけ、保険業界以外の方には無益な刺激のないよう、ソフトな監修につとめましたが、その分、保険業界の方には物足りないところがあるかも知れません。しかし、現在の混迷する保険業界で生き抜く知恵がこの物語の中には秘められている気がしています。できるだけ多くの方にお読みいただき、感動を元気を生き抜く知恵を得る方がいらっしゃれば監修者として嬉しい限りです。

 また、私の「生・損保の真実」(特に『会議室』)にも、お越し下さい。

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=第2話= 男の甲斐性の違い・・・私の知らなかった世界が!


 健太が「明日からお母さん、仕事頑張るんだって」と主人に告げ口したから、さあ、「プレ・さくらスクール前夜」は大変なことに。
 「なに、こんな子供をほったらかして働く?」
 「違うのよ。ほら、平成生命の強引さん、ちょっと頼まれてただ明日顔を出すだけよ」
 「じゃあ、保険でもやるのか?」
 とにかく強引さんの保険契約の時のイメージが相当悪かったらしく「だから保険屋は嫌いなんだ!」と契約した後もぶつぶつこぼしていた主人。よほどわたしが強引さんの話しに乗ったのが気に食わなかったらしい。

 「いや、そうじゃあなくてぇ」
 「そうでなかったら、何しに行くんだ?」
とにかく話しが噛み合わない。
 ただ目の前の2,500円が欲しいから明日、顔を出すだけよ。と言いたいけど、カタブツの主人にそれを言えば
「そんな中途半端な気持ちで働きに行くのか?」
と、一喝されるのは目に見えている。

 確かに顔を出すだけで2,500円を貰える話しもおかしい。男の社会では何の見返りもないのにただ出席して「はい、ご苦労様」はあり得ない。でもその時のわたしは理屈よりもとにかく「顔を出せば2,500円」の誘惑が頭を駆けめぐっていたの。し・か・も、その先にある「さくらスクール本番」は、もっと魅力的な話だったけど、とても今は持ち出せない。何でも保険をやるには保険の勉強を受けなくてはならないけど、それが2週間ほどあるらしい。その期間は毎日3,000円の”日当”がでると言うの。

 毎日、3,000円!よ。強引さんに言わせると、とにかく生命保険の勉強を毎日受ければそれでいいというの。生命保険の勉強をして昼は会社が用意したお弁当を食べて、そして毎日3,000円!毎日のお手当だから、今でも”日当”と呼んでるのよ、と強引さんは笑っていたけど、今の私にすれば、どんな言い方でも、3,000円は3,000円!

 とても「2週間のさくらスクール」の本番の話などできないまま、明日の1日だけのプレ・さくらスクールに行くか行ってはダメかで、主人と話しは結局平行線。翌朝、いつものように主人は7時過ぎに”憮然”としたまま、家を出て行ってしまったの。

 さあ、こうなったら、とにかくわたしは「2,500円」のための準備。子供2人を”処理”して、10時にはスーツ姿のわたしが強引さんを待っている~。そもそもどのような2,500円であれ、健太の靴一つ満足に買えないアナタが悪いのよ、と自分に言い聞かせながら、ウン、ウンなかなか決まった自分の姿が鏡の中にあったの。

 手取り10万円そこそこで毎月やりくりする主婦としては、平成生命のパンフレットに書いてあった「あなたの手で毎月20万円!!」の文字はまぶしかった。強引さんと保険の手続きの時、一緒に入った喫茶店のレジで強引さんの膨らんだ財布からさりげなく支払われる1万円札は「わたしもあんな財布を持ってみたいな」と思わなかったといえばウソ。
 もちろん、あんなに膨らますには苦労もあるんだろうけど、それでもやせ衰えたわたしの財布よりはずいぶんと頼もしい。だいたい、1万円札が365日の内何日わたしの財布には入っているのかしら・・・。
 そして、「さくらスクール」に出席して、あーあ、こんな人たちもいるんだあ、と2,500円を羽毛の如く軽く感じることになろうとは!!

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=第7話= こうやって口説かれた! わたしが絶対必要!  

 おもむろに腰を少し浮かせた姿勢で金満部長はわたしの手を取り、強く握りしめてきたの。
「わかばさん、一緒に頑張りましょう。」
 何となく金満部長の目は、潤んでいるようにも見える。

 生命保険の増員は、相手により「口説き方」を上手く使い分けるのは常道。このときのわたしがその対象だなんてそのときは知る由もなかったの。必死で自分のこれからの仕事をやるのに「あなたが必要!」と説得する金満部長にウソはないと信じ切っていたし、そう期待される自分に心地よかった。

 実は、生命保険会社の現場の仕事は大きく2つあるの。一つは営業成績、そしてもう一つがセールスをやる人を集める、いわゆる「増員」。俗に「新人採用」などと保険会社は最近は呼ぶようになっているけど、増員ができない機関長(保険会社によって呼び方は違うけど「支部」とか「事務所」とかの責任者)は、本社からも評価されないの。そればかりか増員ができない機関長は、いろいろなプレッシャーが掛けられるから、まあ必至になるのね。でも、逆に言えば「増員」ができる機関長は評価が高く、出世も早いのが普通。ところが、そう簡単に「増員」ができないから、生命保険会社の機関長は鵜の目鷹の目で「保険会社で働く人」を探すんだけど、これがままならない。

 ところで生命保険の営業というと女性がターゲット。その説得は大きく2つに分けられる。自分で決断できないタイプとできるタイプ。前者は仕事ができる環境作りを丁寧に説明していくだけで、例えば子供の問題なら働ける時間をスケジュール表を作成して教える。ご主人の反対なら同じ環境からスタートして今成功している体験談を聞かせ、スロースタートさせる。のっけからご主人を納得させようなんて時間の無駄。形から入ろうとしても失敗する。女性は、仕事をしながら家事をこなし、夫や子供の”子守”も同時にできる生まれながらの才覚があるのよ。
 もう一つの後者は将来のビジョンで口説く。来年は、3年後は、5年後はという「実現できる可能性」を描かせることで、目の前の障害は自力でクリアーしていくキャリアタイプ。まさしく当時のわたしはこれ。ただ、物事の同時進行は得てして苦手。多くの女性はそうだと思うけど。

 実は、平成生命では「完全固定給の営業職員育成機関」のプロジェクト計画が金満部長を責任者として密かに進行中で、その「第1期生」にわたしを抜擢したい。3年後は「所長」さらに5年後は20名から30名の部下を管理する「支部長」、そして業績次第では金満部長と同じ「営業部長」への道が開かれている・・・。
 「第1期生」と言えば、聞こえは良いがその適材は極めて少ない。入社1年未満の中からも抜擢するが、できたらこれを目標として入社する人材としてわたしに白羽の矢を当てた、と熱く語る金満部長の目線はわたしを睨みつけるように話さないの。でも、その時は雲を掴むような話。

 まさにヘッドハンティングされる側の心境だったけど、でもこのときのわたし本音を言うと「固定給15万円」にもうメロメロだったの。もっともこのとき、金満部長が最初の責任者になるカラクリなんてぜんぜん知らなかった・・・。  

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生命保険物語

=第0話= いよいよプログで『生命保険物語』スタート!

★ わたし、現在某生命保険会社勤務の年齢からすると、もうオバサマ(?)の「わかば みほ」です。でも、見た目は一回りは若く見られ、タイトでもフレアーなファッションでもまだ大丈夫と本人はいたって自信を持っているのですが・・・。
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● 実は、最初「保険評論家・大地一成さんのHP『生・損保の真実』」の『会議室』の片隅をお借りして、今回の「生命保険物語」の原版「生保物語」は始まりました。しかし、段ボールほぼ1箱のノートの山の中から”物語”をまとめていく作業は困難をきわめ、監修をお願いした、大地さんもほとほと手を焼いたらしくスタートから現在に至るまで物語は遅々として進まず、まだよちよち歩きの状態です。

● そこで、一念発起して、「プログ」を立ち上げ、物語のスムーズな展開を図ることに致しました。とはいえ、過去も現在もそして将来もかなりナーバスな業界ですので、私の思うがままを記載することで、どのようなトラブルやまたご迷惑をおかけするやも知れません。     そのため、「監修」を引き続き「保険評論家 大地一成さん」にお願いすることとし、さらに内容を一部手直しすることに致しました。もちろん、監修については、大地さんから”快諾”(と、私は理解しています・・・。)を頂戴しておりますので、スムーズな展開ができるものと信じております。

● ここ20年以上に渡るわたしの激動の体験がこの「生命保険物語」のスタート台で、出来るだけ事実に基づいて記録しておきたい希望からこのような掲載方法に至りましたが、内容によってはいろいろな物議を引き起こすリスクもあるため、この「生命保険物語」は、「フィクション」という設定です。

 それと、最近の問題もできるだけ掲載したいのですが、それにより私の勤務する生命保険会社が特定されるのも本意ではないため、できるだけ記載するにしても客観的なコメントになることをご承知置き下さい。

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■ なお、私への直接のメール等は一切受け付けておりませんので、ご意見あるいは激励(これが、ホントは一番嬉しいですが・・・。)などがありましたら、下記「大地さんのメール」宛、お願い致します。

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■ 保険評論家 大地 一成も推奨します!

 もう、わかばさんとは何年のおつきあいになるでしょうか。とにかく気さくな方です。雰囲気からはホテルのラウンジでカクテルという非常に洗練されたファッションセンスをお持ちなのですが、私と食事(?)の場合は、街中の居酒屋の片隅でもスムーズに溶け込むまさに変幻自在な年齢不詳の方です。

 大量のノートに綴られた内容は、公表することを憚れるものもありますし、またそれが目的で監修を引き受けたものでもありません。バブル以前・バブル・そして現在に至る生命保険業界の動きを内部から直視した「わかば みほさんの過去日記」と称してよいものだと思います。

 できるだけ、保険業界以外の方には無益な刺激のないよう、ソフトな監修につとめましたが、その分、保険業界の方には物足りないところがあるかも知れません。しかし、現在の混迷する保険業界で生き抜く知恵がこの物語の中には秘められている気がしています。できるだけ多くの方にお読みいただき、感動を元気を生き抜く知恵を得る方がいらっしゃれば監修者として嬉しい限りです。

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=第1話= 毎日子育てしながら3,000円!

 わたし、子育て中に「増員」(生保用語で生命保険募集する人を捜すこと)されたんですけど、小学生1年生と幼稚園児とを抱えての職探しなんてバブルの最中でもなかなかなかったんです。
 うちの主人の生命保険をかなり強引に契約していった保険のおばちゃん、名前もそのままの”強引さん”が、「わかばさん、子育てをしながら少し小遣い稼ぎをしてみない~」と言われたのが生保業界に入るきっかけだったの。

☆ 「プレ・さくらスクール」前夜 ☆

 「明日、朝の10時には迎えに来るからね。必ず準備して待っててね。」と言い残し、2人の子供へのお土産とお菓子を強引さんは”強引”に置いていったから、さあ、大変。
 何でも明日から「さくらスクール」のプレ・スクールがあるからそれにぜひ出席して、というお誘い。なにしろ生命保険に加入するとき、我が家の厳しい家計を知られているから、「行くだけで2,500円」という囁きには、断る口実を見つけようとするよりも、2,500円の使い道を考える誘惑が断然優位に立っていたの。
 「とにかく、明日行きさえすれば2,500円が貰える。帰りに健太(長男)のシューズが買える。」という目の前の現実が明日行くことを決心させていたの。
 
 わたし、ブランドもので身を固めている今、当時を思うと何ともほほえましい限りだけど、でも伸び盛りの健太の靴の右足の側面がほつれていることが分かっててもすぐには買ってあげられないほど我が家の家計は苦しかったの。買ってあげられない変わりに「来月はきっと買ってあげるからね。」と両手でほつれたところをぐっと握りしめるんだけど、魔法が掛かるわけでもなく、糸がほつれたところは、そのまま。子供の靴一足もままならない不甲斐なさに思わず悔し涙が落ちた夜もあったけど・・・。

 でも、明日は「プレ・さくらスクール」へ行きさえすれば、とにかく健太の靴が買える。ところが、一杯機嫌で帰ってきた主人にそのことがばれて、「さくらスクール前夜」は、暴風雨が急襲することになろうとは・・・。  

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